研究課題/領域番号 |
19K17382
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
大澤 麻登里 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 助教 (40792180)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | DNM1L / ミトコンドリア / iPS細胞 / 心筋症 / 心不全 / 小児 / DNM1-L / ミトコンドリア疾患 / 分化心筋細胞 / 心筋細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
DNM1-L(Dynamin-1-like protein) はミトコンドリアの分裂とマイトファジーに関連すると言われ、DNM1-Lに相同するDrp1 (Dynamin-related protein 1)ノックアウトマウスにおいて心筋症を発症することが報告されている。しかし発症機序については不明な点が多く、ヒト心筋細胞を用いた既報告はない。今回我々はDNM1-L 変異を有するヒト疾患iPS細胞を樹立した。そこで、心筋細胞を分化・誘導し、ミトコンドリア形態やATP産生能評価、マイトファジー異常の有無の確認、心筋細胞の機能解析を行うことで心筋症発症機序を明らかにし、新規治療法の開発に結びつける。
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研究成果の概要 |
本研究では、心筋症を発症したDNM1L変異を有する患者2例よりiPS細を樹立し、心筋細胞への分化誘導を行い、ミトコンドリア形態評価、機能評価、心筋細胞機能評価を行った。その結果、DNM1-L変異心筋細胞では、伸長・老朽化した異常ミトコンドリアが蓄積し、ミトコンドリア膜電位の低下、酸素消費速度の低下、ATP産生低下が起きること、そしてATP産生低下がATP依存性チャネルであるSERCA2aの機能障害をもたらし、心筋細胞の収縮能・拡張能の低下につながることが示唆された。このモデルはミトコンドリア機能改善薬の効果を示し、DNM1-L機能に注目した心筋症や心不全の新しい治療法の開発に有用と考える。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、臨床的表現型が確立された患者のiPS細胞由来分化心筋細胞を用いて、DNM1L変異による心筋細胞機能障害のメカニズムを示した初めての研究である。 近年、ミトコンドリアの品質管理を改善することが、心不全治療の新たな戦略となっている。DNM1LがエンコードするGTPaseの一種であるDrp1は、ミトコンドリアの分裂に寄与し、老化ミトコンドリアを除去するための重要なプロセスの一端を担っている。Drp1の機能に着目したミトコンドリアの品質管理の維持・改善は、新規心不全治療への応用が期待される。本研究は、Drp1を標的とした新規治療法を確立するためのヒト疾患モデルとして貢献できる可能性がある。
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