研究課題
若手研究
最近、NAFLD/NASHの病態に、腸内細菌叢と腸内代謝産物の異常が関与することが報告されている。しかし、NAFLD/NASH 発症には、多様な原因があり、従来の腸内環境の評価法では限界があり、一定の見解が得られていない。本研究は、追跡調査ができる1000名以上の大規模住民健診から、多項目に及ぶ NAFLD/NASH進展因子の調査を行う。それら因子の調整後に、腸内細菌叢の評価することでNAFLD/NASHの真の腸内環境の異常を明らかにする。腸内環境の解明により、原因菌に対するプロバイオティクスを開発し、NAFLD/NASHへの進展を予防を目指す。
1000人超の大規模健診でのFibroscan測定にてNAFLDを同定した。腸内細菌叢の検討で、NAFLDで多様性が大きく変化していること、酪酸酸性菌のFaecalibacteriumの有意な減少が認められた。これは腸管由来のエンドトキシンの上昇を反映しており、Gut-Liver-axisの破綻からの腸管透過性亢進を示していると考えられた。肥満型のNAFLDとは代謝機序が異なるやせ型のLean NAFLDの男性においてエクオールの産生者が極めて少なく、腸内細菌叢で特にSlackiaが有意に減少していることが確認された。Lean NAFLDはエクオール産生能が発症に関わっていると考えられた。
NAFLDでは腸内細菌叢の変化や破綻が起きており、特に善玉菌の酪酸酸性菌であるFaecalibacteriumの補充により、Gut-Liver axisの破綻を改善し、日本での罹患率が問題となっているNAFLDの進行の改善につながると考える。また、女性ホルモン作用を示すエクオールは、エストロゲン作用によりメタボリックシンドロームに対して防護的に働く可能性が報告されている。エクオール産生に関わる腸内細菌叢のSlackiaの減少を認めるLean NAFLDはエクオール産生能が低く、NAFLDの発症に関わると考えられる。エクオールを摂取することで、脂肪肝の発症や改善が認められると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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