研究課題
若手研究
最近、NAFLD/NASHの病態に、腸内細菌叢と腸内代謝産物の異常が関与することが報告されている。しかし、NAFLD/NASH 発症には、多様な原因があり、従来の腸内環境の評価法では限界があり、一定の見解が得られていない。本研究は、追跡調査ができる1000名以上の大規模住民健診から、多項目に及ぶ NAFLD/NASH進展因子の調査を行う。それら因子の調整後に、腸内細菌叢の評価することでNAFLD/NASHの真の腸内環境の異常を明らかにする。腸内環境の解明により、原因菌に対するプロバイオティクスを開発し、NAFLD/NASHへの進展を予防を目指す。
NAFLDとエクオールに関して研究をすすめた。エクオールはエストロゲン作用によりメタボリックシンドロームに対して防護的に働く可能性が報告されている。本研究において、肥満型のNAFLDとは代謝機序が異なるやせ型のLean NAFLDの男性においてエクオールの産生者が極めて少ないことが判明した。腸内細菌叢でもSlackiaが有意に減少していることが確認された。やせ型のNAFLDはエクオール産生能が発症に関わっていると考えられ、エクオールを摂取することで、脂肪肝の発症や改善が認められる可能性がある。代謝異常を組み入れ基準とした脂肪肝の新診断基準であるmetabolic dysfunction-associated fatty liver disease(MAFLD)が提唱された。また、FibroScanの測定値を用いて非侵襲的に肝線維化を評価するFibroScan-AST(FAST)scoreの有用性が示されている。脂肪肝症例のうちMAFLDとNAFLDの診断基準を満たすものを抽出し、FAST scorer≧0.35を線維化陽性として評価を行った。また、そのリスク因子をロジスティック回帰分析で検討した。肝線維化は36例に認め、その中でMAFLDは29例(80.6%)、NAFLDは23例(63.9%)であり、MAFLDの方がより高率に肝線維化をとらえられた。肝線維化における多変量解析では独立因子としてobesity(OR 7.24、95%CI 2.43-21.6、p値<0.05)とmetabolic dysregulation(OR 3.19、95%CI 1.06-9.59、p値 <0.05)が抽出された。NAFLDよりMAFLDの方が肝線維化を高率でとらえられた。また、肝線維化にはobesityとmetabolic dysregulationが強く関連していた。
2: おおむね順調に進展している
NAFLDとエクオールと腸内細菌叢の関係について学会発表、論文化を行った。
今後の、NAFLDと腸内細菌叢、線維化の進展に関わる因子について研究をすすめていく。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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