研究課題/領域番号 |
19K17393
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
冨永 顕太郎 新潟大学, 医歯学系, 助教 (60812154)
|
研究期間 (年度) |
2022-12-19 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 空置腸炎 / 糞便移植 / 腸内細菌 / 炎症性腸疾患 / 短鎖脂肪酸 / 腸炎 / 免疫 / 免疫グロブリンA / 自家糞便移植 |
研究開始時の研究の概要 |
今後、大腸癌や炎症性腸疾患の増加に伴い、空置腸炎の増加も予想され対策は急務である。我々は、空置腸管の腸内細菌叢を解析し、空置腸炎に対する新しい治療法として自家糞便移植の有用性を報告した(Tominaga K, et al.Gut.2018)。しかし、未だメカニズムが解明されていない空置腸炎に対しては標準的な治療法は定まっていない。本研究では臨床的なデータを更に集積すると共に、腸内細菌叢の変化や腸管粘膜の制御性T細胞やIgA抗体などの免疫学的な研究を行うことを目的とする。空置腸炎の腸内細菌、免疫機構を通した病態メカニズム解明を行い最終的には自家糞便移植の有用性を明らかにしていきたいと考えている。
|
研究実績の概要 |
空置腸炎とは、人工肛門の造設に伴い腸内容が通過しなくなった空置の腸管に発生する腸炎のことです。本症の原因は未だ明らかではありませんが、空置腸管内での好気性菌の増加や短鎖脂肪酸の欠落、粘膜の免疫能の異常などが指摘され、術後3-36か月で内視鏡的にほぼ100%に生じると報告されています。今後、大腸癌や炎症性腸疾患の増加に伴い、空置腸炎の増加も予想され対策は急務です。本研究では、空置腸炎の腸内細菌叢を解析し自家糞便移植の有用性を示すと共に、空置腸管における免疫学的な解析をすることを目指しました。 空置腸管の腸内細菌叢の解析・便中の短鎖脂肪酸の測定・便中免疫グロブリンAなどの評価を行い、空置腸管において、短鎖脂肪酸の欠如が腸内細菌叢に影響を与え、免疫学的な影響を及ぼしている可能性を示しました。その成果を第105回消化器病学会総会ワークショップで成果発表し、論文報告を行いました。。さらに、臨床研究を進め、未解明な空置腸炎患者の腸内細菌叢を調査し、空置腸炎における自家糞便移植の有用性を示すことに成功しました。現在、空置腸炎に関する治療のまとめを更新し、腸内細菌に焦点を当てたreviewの論文を作成中です。 空置腸炎に対する自家糞便移植の報告や空置腸管における腸内細菌叢に関する報告は世界的にみてもわずかであり、本研究の独創的な点と考えます。今回の申請者の臨床研究により、空置腸炎における自家糞便移植の有用性が明らかになり、今後の治療の選択肢としての活用が期待されます。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、治療に難渋する空置腸炎患者において自家糞便移植を行い、その有用性を報告するとともに、糞便移植前後で次世代シーケンサーMi Seqを用いた16SrRNAメタゲノム解析による腸内細菌叢の評価を行いました(Tominaga K, et al. Gut. 2019.)。また、申請者は空置腸炎の治療に関するまとめを行いreviewとして論文報告をしています(Tominaga K, et al. World Journal of Gastroenterol. 2019.)。また、空置腸管の腸内細菌叢の解析・便中の短鎖脂肪酸の測定・便中免疫グロブリンAなどの評価を行い、第105回消化器病学会総会ワークショップで成果発表し、論文報告を行いました(Tominaga K, et al. Biochemistry and Biophysics Reports. 2020)。さらに、臨床研究により未解明な空置腸管内の腸内細菌叢を調査し、空置腸炎における自家糞便移植の有用性を示すことに成功しました(Tominaga K, et al. DEN Open. 2021)。現在、空置腸炎に関する治療のまとめを更新し、腸内細菌に焦点を当てたreviewの論文を作成中です。
|
今後の研究の推進方策 |
近年、糞便移植の腸炎に対する一定の有用性が示されていますが、空置腸炎に対しての報告は少なく、自家糞便移植の有用性は確立されていません。今後、空置腸炎に関するこれまでの研究成果に関して、腸内細菌学会学術集会2024で発表を予定しています。また、凍結保存してある糞便の腸内細菌解析や各種免疫学的機能解析を追加し新たなデータ集積を行う予定です。さらに、糞便移植に焦点を当てた空置腸炎に関する治療のまとめをreviewとして仕上げることで、その有用性を世間に周知することを目標とします。今回の申請者の臨床研究により、空置腸炎における自家糞便移植の有用性が明らかになり、今後の治療の選択肢としての活用が期待されます。
|