研究課題
若手研究
非肥満マウス・肥満マウスのそれぞれの内臓脂肪組織から、脂肪前駆細胞を初代培養し、①膵癌細胞の単培養をコントロールとし、膵癌細胞と②非肥満内臓脂肪細胞、③肥満内臓脂肪細胞、の共培養を行い肥満脂肪細胞が膵癌細胞にもたらす影響を検討する。さらに、血管内皮細胞との共培養も行い、膵癌細胞・脂肪細胞が血管新生にもたらす影響を検討する。それぞれの現象のメカニズムを分子生物学的に解明した後、動物実験やヒト膵癌組織を使用し検証する。
通常食および高脂肪食で飼育したマウスから、非肥満内臓脂肪細胞(L-Adv)および肥満内臓脂肪細胞(O-Adv)を樹立した、O-Adの培養液の刺激により膵癌細胞の増殖・運動能・血管新生能は有意に促進された。O-Adv中のオステオポンチン(OPN)のブロックは、AKTリン酸化やVEGF発現を制御し、O-Advによる膵癌細胞の悪性化能を抑制した。また、非肥満マウスと比較し、肥満マウス移植膵癌腫瘍の有意な増大をみとめたが、抗OPN抗体の投与によりその効果は抑制された。ヒト膵癌症例の検討では、非肥満患者と比較し肥満患者では膵癌の再発率が高く、内臓脂肪組織中において有意なOPNの高発現をみとめた。
過去の複数の疫学的研究により、肥満は膵癌のリスク因子であること、予後不良因子であることがわかっているが、そのメカニズムは不明である。本研究では、細胞実験・動物実験・ヒトの膵癌組織を使用し多角的に検討をおこない、肥満患者の脂肪細胞ではオステオポンチンが高発現し、血管新生を促進し膵癌細胞を悪性化へと誘導するという新たな知見をえた。今後の肥満関連の治療開発や膵癌予防への発展が期待される。
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