研究課題/領域番号 |
19K17415
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
山口 隆志 関西医科大学, 医学部, 講師 (10730202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | NASH / Smad3 / TGF-beta / hepatocellular carcinoma / phospho-isoform / phospho-isoforms / Smad / 肝細胞癌 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで我々は、線維化と癌化に深く関わるTransforming Growth Factor beta (TGF-beta)シグナル伝達に注目して研究を行い、肝炎ウイルスの持続感染によりpSmad3Cを介する癌抑制シグナルからpSmad2L/CとpSmad3Lを介する癌化線維化シグナルへ変遷することで肝硬変、肝細胞癌に進行することを報告した。近年、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を背景とする肝細胞癌の増加が指摘されている。本研究では、NASH患者のリン酸化Smadを介する細胞内シグナルを解析して、肝硬変、肝細胞癌に進行する症例を予測するバイオマーカーとしての可能性について検討する。
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研究成果の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、非硬変肝で発癌がみられる一方、発癌を伴わない肝硬変症例も多くみられるため、線維化とは独立した発癌のバイオマーカーが求められる。長期経過観察が可能であったNASH30症例についてpSmad3C抗体、pSmad3L抗体を用いて免疫組織染色を行い肝細胞におけるSmadのリン酸化状態と発癌や線維化との関連を検討した。NASHでは、炎症経路を共有して肝線維化と発がんが同時に進行する場合と、炎症や線維化がほとんどない状態で肝発癌に至る場合があり、そのいずれの場合も発癌過程にリン酸化Smad3Lシグナルの亢進とリン酸化Smad3Cシグナルの減弱が重要であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
NASHでは非硬変肝からの発癌をしばしば認めるが、非硬変肝からの発癌予測が困難であることが問題となっている。リン酸化Smadシグナルは炎症を介する経路の他、インスリン抵抗性、酸化ストレス、脂質毒性などによる遺伝的変化によっても変化する。そのため、慢性炎症から線維化進行に伴って起こる発癌だけでなく、炎症や線維化進行を伴わない発癌においてもリン酸化Smadシグナルは鋭敏に反応する。リン酸化Smadシグナルを評価することで、これまで予測困難であった非硬変肝からの発癌予測が可能となることが期待される。
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