研究課題/領域番号 |
19K17429
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 泰之 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50831393)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 膵癌 / 癌関連線維芽細胞 / Meflin / 間質 / stromal roadblock / 癌抑制性線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は抗癌剤抵抗性のため予後不良であり予後改善のボトルネックとなっている。近年の研究でCAFを促進性から抑制性にリプログラムさせることで抗がん剤抵抗性が改善されると示唆されている。しかしながら具体的な機序は明らかにされておらず未だコンセプトに留まっている。本研究は、Meflinを利用し「癌促進性CAF」から「癌抑制性CAF」にリプログラムすることで抗癌剤抵抗性を改善できるかどうかを明らかにし、間質をターゲットとした新規概念の治療方法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
近年の研究により、CAFには、がんの進行を促進する「がん促進性CAF」と、がんの進行を抑制する「がん抑制性CAF」の両者が存在することが知られていた。前者のがん促進性CAFについてはマーカーも知られており、多くの研究者が興味の対象としてきたが、後者のがん抑制性CAFの本態およびマーカー分子は知られていなかった。申請者らは一昨年、世界に先駆けてがん抑制性CAFのマーカーMeflinを同定し、またマウスモデルを用いた細胞系譜実験によって、Meflin陽性がん抑制性CAFが、がんの進行中にMeflin陰性がん促進性CAFに形質転換する(CAFのがん細胞側への寝返り現象)ことを明らかにした。 次いで、がん促進性CAF(Meflin陰性)を抑制性CAF(Meflin陽性)に変換することの可能な化合物のスクリーニングを行ったところ、レチノイドの一種を同定した。同薬は我が国で開発された合成ビタミンA誘導体であり、我が国でのみ急性前骨髄性白血病に対して承認されている。 膵がんマウスモデルにおいて着目したレチノイドはCAFにおけるMeflinの発現の増強を介して抗がん剤の効果を増強している可能性が示唆された。 名古屋大学医学部附属病院にて未治療の切除不能膵がん(遠隔転移例及び局所進行切除不能例)の患者に対して、間質初期化薬として着目したレチノイドとゲムシタビンおよびナブパクリタキセルの併用療法の効果を検証する医師主導治験の第I相部分を開始した( jRCT臨床研究実施計画番号: jRCT2041210056、ClinicalTrials.gov Identifier:NCT05064618)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究成果から見いだされた間質初期化薬を使用し、膵がん治療の革新を目指し医師主導治験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
間質治療薬が線維芽細胞のリプログラミングを引き起こす機序をさらに解明する。
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