研究課題/領域番号 |
19K17432
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
牧野 祐紀 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60771334)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | p53 / 肝発癌 / 肝前駆細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
癌抑制遺伝子p53の機能障害は肝発癌に密接に関連しているが、慢性肝疾患患者の肝細胞では逆にp53が活性化していることが知られている。申請者は肝発癌モデルマウスの肝細胞においてp53を活性化させると肝発癌が促進することを見出している。そこで本研究課題はその機序を明らかにすること目的とし、肝癌促進因子である結合組織増殖因子 (CTGF)の発現上昇、肝細胞アポトーシス、細胞老化・SASP、肝前駆細胞の4点について検討する。本研究によりp53の新たな側面が明らかとなれば、その学術的意義は極めて大きい。さらに慢性肝疾患患者における新たな肝発癌予防法の開発に繋がる可能性もあり、臨床的意義にも富んでいる。
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研究成果の概要 |
慢性肝疾患患者の肝細胞では、癌抑制遺伝子p53が恒常的に活性化している。我々は肝発癌モデルマウスの肝細胞でp53を過剰に活性化させると肝発癌が促進されることを見出しており、その機序について検討した。 肝細胞のp53が活性化すると肝細胞死・細胞老化により肝障害が惹起され、肝前駆細胞が出現した。肝腫瘍は肝前駆細胞から連続して形成され、肝前駆細胞由来オルガノイドが腫瘍形成能を示したことから、肝前駆細胞が発癌母地であると考えられた。 本研究課題により肝細胞のp53活性化が肝前駆細胞を介した肝発癌を促進することが明らかとなり、p53が慢性肝疾患患者の発癌予防の新規治療標的になることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
p53は代表的な癌抑制遺伝子であるが、本研究課題では肝細胞のp53が過剰に活性化すると逆に発癌が促進されることが示され、従来よく知られてきたp53の新たな側面を明らかにしたという点において大きな学術的意義を有する。 さらに本研究課題により、活性化したp53が慢性肝疾患患者における肝発癌予防の治療標的になることが示された。慢性肝疾患患者の肝発癌予防のためには、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎等の原疾患の治療以外に有効な方法がないのが現状であり、本研究課題によりこれまでにない新たな肝発癌予防法の開発に繋がる可能性があり、臨床的意義にも富んでいる。
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