研究課題/領域番号 |
19K17496
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 正剛 九州大学, 大学病院, 助教 (20837265)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / NASH / zonation / 網羅的遺伝子発現解析 / RNA-seq / レーザーマイクロダイセクション / IL-17 / 類洞内皮細胞 / zone 3 / T細胞 / 低酸素 / hypoxia inducible factor |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝脂肪化を基盤として、炎症・線維化が起きる病態であるが、その発症機序は解明されていない。NASHの肝脂肪化は中心静脈周囲に起き、また特徴的な線維化の一つに中心静脈周囲線維化が挙げられることから、NASHにおける肝脂肪化から炎症・線維化へと進展する根源的な病理変化は中心静脈周囲(zone 3)の生物学的特性に強く関連していると考えられる。今回我々はマウス肝からzone毎に肝細胞を分離する実験系を確立し、zone 3肝細胞における低酸素/HIFシグナルと肝脂肪化、炎症および線維化との関連性を解析することにより、NASHの発症機序の解明を図る。
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研究成果の概要 |
NASHマウスモデルの未固定肝臓切片からレーザーマイクロダイセクションにより門脈域、門脈域近傍、中間領域、中心静脈近傍に分けてサンプリングし、抽出した微量RNAからRNA-seqを行う実験系を確立した。また、NASHに特異的なdifferentially-expressed genes (DEGs) を959個同定し、階層的クラスタリングにより10個のクラスターに分け、NASH群の中心静脈近傍でのみ発現が変化するクラスターを同定した。また、エンリッチメント解析により、内皮細胞の遺伝子発現キャラクターが強いクラスターにおいてIL-17シグナル経路に変化を認めることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、生活習慣の欧米化により非アルコール性脂肪肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis; NASH) 患者が増加傾向にあり、本邦においては全人口の約3%に上ると考えられている。NASHは肝硬変、肝細胞癌へと進行性の経過を辿り、5年生存率は約70%と不良であることが知られているが、その発症機序はまだ十分には解明されておらず、有効性の証明された薬物治療も存在しない。肝臓の微小領域に着目した本研究により、新たな治療標的候補が同定することができた。本研究成果はNASHの発症機序解明に寄与し、NASHの治療薬開発に結び付く可能性があるものであり、社会的にも意義があると考える。
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