研究課題/領域番号 |
19K17502
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
チョ ハクショウ 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80570689)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 自然免疫 / fibrolysis / 腸内細菌 / 胆汁酸 / acute-on-chronic肝不全 / 肝線維化 / マクロファージ / 胆汁酸代謝 / liver fibrosis / innate immunity |
研究開始時の研究の概要 |
抗肝炎ウイルス治療が著しく進化を遂げ続けるなか、慢性肝疾患は依然として「生命予後」のみならず人類の「生命の質」を脅かし続けており、「肝硬変の機能再代償化」を標的とする内科治療の開発が急務である。肝臓は代謝の中枢として「肝線維化消退後の機能回復=再代償化」という問いに対し、肝臓の自然免疫の可塑性が制御機構であるとの仮説で研究を進める。動物モデルより得られた肝臓Toll-like Receptor 4(TLR4)における線維化進展・消退の二面性に着目し究明を進めながら、「HCV駆除後の線維化消退」というヒト肝線維化疾患モデルにつきfluid biopsyの概念で肝硬変の代謝機能回復の評価を努める。
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研究成果の概要 |
肝硬変は依然として「生命予後」のみならず人類の「生命の質」を脅かし続けている。四塩化炭素肝線維化回復マウスモデルを用いて、骨髄由来単球細胞の自然免疫を担うTLR4が蓄積された細胞外基質の消退に寄与するMMP12の発現増強に必須であることを明らかにし、その過程に腸内細菌、特にErysipelotrichaceae属の存在、FXR拮抗能を有する胆汁酸Tauro-βMCAの低下、MMP誘導能を有する胆汁酸7-oxo-LCAの増加に関連することを突き止めた。また、肝硬変患者の観察研究を用いでAcute-on-chronic肝不全「再発」と「誘因」に関連する臨床表現型の特徴を特定した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
TLR4は肝星細胞におけるTGF-β径路を増強し肝線維化の線維化形成(fibrogenesis)を促進すると知られているが、線維化消退(fibrolysis)に対する影響は不明であった。本研究の結果によって、骨髄由来単球におけるTLR4のfibrolysisの役割が新たに解明されると同時に、生体内の腸内細菌または胆汁酸-FXRを介した制御機序が初めて明らかになり、抗線維化治療の開発に新たな突破点になり得る知見が得られた。 また、観察研究より、「急性誘因不明」は肝硬変患者における急性非代償化・ACLFの再発に寄与することが明らかになり、今後橋渡し研究の臨床マーカーになり得る。
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