研究課題/領域番号 |
19K17506
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
三長 孝輔 近畿大学, 大学病院, 助教 (30793814)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 慢性膵炎 / 腸内細菌 / 自然免疫反応 / 腸内細菌叢 / Akkermansia muciniphila / Toll様受容体 / 自然免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは、腸管バリアの機能破綻により膵へ移行した腸内細菌が自然免疫システムを活性化し、慢性膵炎の発症を誘導することを見出し、さらに、腸管常在菌であるAkkermansia muciniphila (A. muciniphila)の腸管からの消失が慢性膵炎の発症に関与することを発見した。上記の知見から、A. muciniphilaの腸管への定着が慢性膵炎の発症を防止していることが示唆されるが、詳細は明らかではない。本研究では、A. muciniphilaに対する免疫反応を介する慢性膵炎の発症抑制機序を解明し、A.muciniphilaに対する免疫反応を用いた慢性膵炎の新規治療法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
腸内細菌の全身臓器への移行は膵炎患者においてしばしば観察されるが、慢性膵炎を制御する腸内細菌は同定されていない。実験慢性膵炎マウスの腸内細菌叢の解析の結果、腸管常在菌の1種であるAkkermansia muciniphila (A. muciniphila)の腸管からの消失が慢性膵炎の発症を促進する可能性が考えられた。A. muciniphilaは、自然免疫反応受容体TLR2またはTLR4を介して、膵臓へのマクロファージや樹状細胞の浸潤を防止し、膵腺房細胞からの炎症性サイトカインI型IFNとIL-33の産生を抑制することで慢性膵炎の発症を制御していると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
慢性膵炎は飲酒過剰を背景に発症する膵臓の慢性炎症性疾患であり、膵内・外分泌機能が障害される結果、糖尿病や難治性の疼痛・下痢などが出現する。また、慢性膵炎は膵癌発症の最大の危険因子である。しかしながら、慢性膵炎の病態生理は十分に解明されておらず、病態生理に基づいた根治療法は開発されていない。本研究において、腸内細菌叢解析の結果、Akkermansia muciniphilaが慢性膵炎の発症抑制に機能する腸内細菌であることが示唆された。本菌は肥満や脂肪肝などを抑制することが報告されているが、慢性膵炎や予後不良な膵癌の発症予防にも有効である可能性があり、新たな治療法の開発につながる可能性がある。
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