研究課題/領域番号 |
19K17515
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 正道 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70794642)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 特発性拡張型心筋症 / iPS細胞 / LMNA変異 / 心不全 / 拡張型心筋症 / 病態解明 / ラミン変異 / 網羅的遺伝子発現解析 / エピゲノム解析 / ラミン / DNA損傷 / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
ラミン遺伝子(LMNA)変異は、進行性で薬物療法不応の拡張型心筋症(DCM)を引き起こすが、病態に根差した治療法や発症予防法は開発されていない。本研究ではLMNA変異を有する拡張型心筋症(DCM)患者から作成したiPS細胞由来心筋細胞と、相同点変異をノックインしたマウスの個体心臓を用い、①メカニカルストレス応答過程でのエピゲノム変化、②DNA損傷修復の変化を明らかにしながら解析を行う。それらの結果を統合することで「ラミン遺伝子(LMNA)の変異はなぜ心機能低下を引き起こすのか」を明らかにし、治療薬開発に資する分子基盤を同定する。
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研究成果の概要 |
本研究では予後が悪く、治療法が存在しないLMNA変異拡張型心筋症の病態を解明するため、該当する患者さんからiPS細胞を作成し、心筋細胞に分化させて様々な解析を行った。その結果、LMNA変異心筋細胞ではDNA損傷応答が亢進していること、電気的活動の異常などの表現型異常が見られることが分かった。さらに、これらの細胞を用いて網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、筋収縮線維の発現低下を認め、心筋成熟化障害が示唆された。さらに遺伝子発現の調節システムであるエピゲノムの解析を行ったところ、LMNA変異心筋では転写因子TEAD1の標的分子群の発現が低下していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々はこれまでの先行研究で、DNA損傷蓄積と心機能低下の因果関係を示してきた。今回用いた患者由来iPS心筋細胞を用い、心筋細胞のDNA損傷を軽減する化合物をスクリーニングすることで新たなDCMの治療候補化合物を同定できる可能性がある。 また、今回の結果はTEAD1の標的遺伝子群の発現低下が心筋細胞の成熟化障害に関与している可能性を示唆しており、TEAD1遺伝子導入によって心筋細胞の成熟化誘導が可能であれば、心不全進行過程で見られる心筋細胞の幼若化を抑えることで、新しい心不全治療法を提唱できる可能性がある。
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