研究課題/領域番号 |
19K17526
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
坂井 千恵美 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90827982)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | XRCC3遺伝子多型 / 心肥大 / 多倍体化 / DNA損傷 / 細胞老化 / 遺伝子多型 / Endoreduplication |
研究開始時の研究の概要 |
高血圧性心肥大では多倍体の細胞が増加することが知られているが、その機序や病的意義は不明である。DNA修復タンパクXRCC3の遺伝子に変異があると、DNA複製後の細胞分裂を伴わない核内倍加という特殊な細胞周期を誘発することが報告されている。本研究は、XRCC3遺伝子変異に誘発される核内倍加が心肥大の発症・進展に関与するかを遺伝子改変動物を用いて検討し、そのメカニズムを明らかにすることを目的とする。 本研究により、核内倍加を介した心肥大発症機序が明らかにされれば、心肥大のみならず心肥大を病態基盤とする心疾患の新たな予防・治療法の開発につながると期待される。
|
研究成果の概要 |
ゲノム修復タンパクXRCC3の遺伝子多型では、ednoreduplicationという現象によりDNA複製時に細胞分裂が起こらず倍数性が増加(多倍体化)することが知られている。この現象が心肥大の発症・進展に関与するかを検討した。血液透析患者を対象とした遺伝子多型解析においてXRCC3T241Mは心肥大発症のリスク因子であることが明らかとなった。また培養細胞にXRCC3T241Mを導入すると、細胞の多倍体化、DNA損傷の蓄積および細胞老化が増加した。以上の結果からXRCC3遺伝子多型は細胞の多倍体化、ゲノムの不安定化、細胞老化を誘導し心肥大に関与することが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
XRCC3遺伝子多型が心肥大のリスク因子であることが示された。心肥大のリスク因子には加齢があるが、加齢によりゲノムの不安定性が増加することが知られている。XRCC3はゲノムの恒常性維持を担うタンパクであることから、XRCC3遺伝子多型に誘発される心肥大の発症・進展のメカニズムは加齢に伴う心肥大に普遍的なプロセスと類似している可能性がある。心筋細胞は元々多倍体化の細胞が多いことが知られているが、本研究の成果により、XRCC3タンパクの発現異常に誘導されるような病的な多倍体化が心肥大の発症・進展に関与することが示された。
|