研究課題
若手研究
急性心筋梗塞に対する治療法の発展により、その予後は改善傾向であるものの、最近、閉塞血管のない心筋梗塞であるMINOCA(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries)の存在が認識され始めたが、日本においてはまだMINOCAに関する報告がほぼなく、MINOCAの実態は不明である。本研究ではビッグデータを用いて日本におけるMINOCAの診療実態を疫学的に明らかにするとともに、その診断に寄与する血液バイオマーカーの探索を行う。
近年、急性心筋梗塞の中で冠動脈造影上、心外膜冠動脈に50%以上の有意狭窄病変を有さないMINOCA(myocardial infarction with non-obstructive coronary arteries)という病態が注目されている。本研究により日本におけるMINOCAの臨床的特徴として若年、女性、心外併存疾患を有する症例に多いこと、冠危険因子が少ないこと、MINOCAの予後は良好ではないこと、黄砂やPM2.5の短期曝露が発症リスク因子であることが明らかとなった。MINOCAの原因疾患は冠攣縮が多いが、様々な原因があり、MINOCAの発症機序についてはさらなる解明が必要である。
MINOCAは比較的新しい概念であり、徐々にその認識が広まっている。本研究によって日本におけるMINOCAの診療実態、臨床的特徴が明らかとなったことから、さらに認知度が高まり、診断精度の向上が期待される。しかし、短期予後は閉塞性冠動脈疾患による心筋梗塞と同等か不良であることから、原因の鑑別診断を行い、病因特異的な治療へとつなげることが重要である。また環境要因として大気汚染物質の曝露がリスクであることが明らかとなったため、大気汚染曝露を避ける患者への生活指導や大気汚染物質を排出させないような技術革新や規制が必要である。
すべて 2023 2022 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (6件)
Circulation Journal
巻: 87 号: 6 ページ: 879-936
10.1253/circj.CJ-22-0779
Scientific Reports
巻: 10 号: 1 ページ: 17630-17630
10.1038/s41598-020-74713-6
120006940302
International Journal of Cardiology
巻: 301 ページ: 108-113
10.1016/j.ijcard.2019.09.037
European Journal of Epidemiology
巻: in press 号: 5 ページ: 455-464
10.1007/s10654-020-00601-y
European Journal of Preventive Cardiology
巻: - 号: 13 ページ: 1435-1444
10.1177/2047487320904641