研究課題/領域番号 |
19K17533
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
肱岡 奈保子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40836037)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | DNA損傷 / 医療放射線被ばく / 心臓カテーテル検査 / 経皮的冠動脈形成術 / 放射線被ばく / DNA / 動脈硬化 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線治療を除く医療放射線被ばくの40%が心臓カテーテル検査などの心血管イメージングや経皮的冠動脈形成術など心血管インターベンションに由来するが、これらの人体への影響は未解明の部分が多い。本研究はDNA損傷と炎症の視点から心血管イメージング/インターベンションによる放射線被ばくの人体への影響を明らかにすることを目的とする。医療従事者への放射線被ばくの生物学的影響についても検討し、心臓カテーテル検査による放射線被ばくの影響を患者と医療従事者の双方において検討する。本研究で得られた成果は、患者および術者の放射線感受性に応じて血管内治療における最大被ばく量を設定する際など重要な基盤データとなり得る。
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研究成果の概要 |
心臓カテーテル検査による放射線被ばくの影響を、患者および術者においてDNA損傷の観点から検討した。心臓カテーテル検査前後に患者および術者から単核球を分離し、DNA二本鎖切断のマーカーとしてリン酸化ヒストンH2AXおよび二動原体染色体を測定した。検査後、患者の単核球DNA損傷は有意に増加した。単核球内IL-1betaなどの炎症性サイトカインのmRNAの発現増加量は被ばく放射線量よりも DNA損傷の程度と相関していた。一方、術者においてはDNA損傷の有意な変化は認めなかったが、IL-1beta mRNAの発現は増加した。患者と術者双方において検査後NF-kappaBの活性化が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の放射線診断技術の進歩にともない医療放射線被ばくの量も増加の一歩をたどっているが、低線量放射線被ばくの生物学的影響については不明の部分が多い。心臓カテーテル検査による放射線被ばくが、患者の末梢血単核球においてDNA損傷を増加させ、さらにNF-kappaBが活性化、炎症性サイトカインが誘導された。術者においてはDNA損傷の増加は認められなかったが、NF-kappaBの活性化とIL-1betaの増加が認められた。医療放射線被ばくの影響を評価する上で、放射線感受性の個人差を反映する生物学的線量測定の有用性が示唆された。患者、術者双方において被ばく線量の低減のためのさらなる努力が必要であろう。
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