研究課題
若手研究
マイクロダイアラシス法を用いて、冠動脈結紮モデルにおける心筋局所の代謝の時間的変化を正確に把握することを目指す。このマイクロダイアラシスの技術と同位体元素を用いた定量的代謝フラックスイメージング(代謝の空間的把握)技術を組み合わせることで、in vivo 四次元代謝イメージング技術を確立する。そのうえで、このin vivo 四次元代謝イメージング技術を用いて、水素の同位体である重水素(2H2)の代謝動態を追跡し、水素の虚血再灌流障害抵抗性に関するメカニズムの解明を目指す。
心筋障害部位での超急性期の代謝の継時的な変化をとらえるために、マイクロダイアラシス法を用いた技術の開発を行った。Wistarラットの左室心筋局所に ダイアリシスプロープを植え込んで、インジェクションポンプを用いて灌流し、終端より環流液を回収し、質量分析法で代謝産物を網羅的に解析した。虚血時および再還流時に、細胞外のグルタチオン関連物質の有意な変動が明らかになった。心筋培養細胞でも、虚血再酸素化時に、グルタチオンの細胞外への放出が増大し、細胞内の活性酸素、過酸化脂質が経時的に増大した。またグルタチオンの投与は、細胞内のグルタチオン濃度を保持し、虚血再酸素化時の細胞障害を抑制した。
虚血再灌流における詳細なRedox代謝変化を検証するため、空間的および時間的な網羅的代謝解析技術を確立した。マイクロ波による心臓処理を行うことで代謝産物の死後のdegradationを完全に抑制し、虚血再灌流時のRedox代謝産物の局在の可視化(マッピング)に成功した。さらに、虚血および再灌流に伴い、ダイナミックに変化する代謝産物の推移を時間軸で把握するために、メタボローム解析とマイクロダイアリシス法を組み合わせた、同一個体で心筋細胞外の代謝変化を連続的に測定する手法を確立した。これらの手法を組み合わせた代謝4次元マッピングは代謝物の時間的変化を明らかにした点に特色を有する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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