研究課題
若手研究
病因となる遺伝子異常が同定されない遺伝性不整脈患者に対し、心臓デバイスの抜去リード付着心筋や、ホルマリン固定パラフィン包埋検体など、今まで解析されていなかった心筋検体を用いてRNAシークエンスを行い、DNAの転写からタンパク発現までの過程の異常を調べることにより、不整脈の原因を解明し、治療に結び付ける。
抜去リード心筋検体は剖検検体よりも質が良く、一方当施設のFFPE検体は分解が高度でRNA-Seqは困難だった。2名のBrS症例(1:抜去リード、2:手術)と2名の非BrS症例(1:HCM抜去リード、1:市販右室RNA)のRNA-Seqを施行し、2症例の公共RNA-Seqデータと併せて解析した。クラスタリング解析では公共データと当施設のデータで分かれたため、RNA-Seq方法の影響が大きいと分かった。BrS群vs非BrS群で比較した発現変動解析では、ZFP57がBrS群で低下していた。ランク上位150の発現変動遺伝子を用いたエンリッチメント解析では、心血管発達関連の異常の関与が示唆された。
今回のRNA-SeqではBrS症例の数不足のため正確性に欠ける結果ではあったものの、心血管の発達に関連した何らかの異常がBrSに関連している可能性が示唆された。BrSは遺伝性不整脈疾患でありながら遺伝子変異同定率が20%と低く、いまだに原因が明らかになっていない。本研究の成果は疾患の原因を明らかにする糸口となりうる。リード抜去付着心筋サンプルをさらに集積することで、より正確な結果が得られる可能性が高い。よって、今後はさらに症例を蓄積し、研究を発展させていく予定である。
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