研究課題
若手研究
Hippo pathwayは細胞の増殖・分化・細胞死に関与するシグナル経路であり、近年様々な臓器の組織幹細胞でその恒常性維持に寄与していることが報告されているが、その肺における役割についてはわかっていない。本研究は、肺上皮幹細胞において、Hippo pathwayが平常時や損傷時にどのように働いているかを解析し、難治性肺疾患の病態形成のメカニズムの解明や新規治療法の開発に貢献することを目的とする。
本研究は、タモキシフェン(TMX)依存的に肺上皮幹細胞においてTAZ/YAPを欠失するコンディショナルノックアウトマウスを作出、複数の肺疾患モデルにいて、肺上皮幹細胞におけるHippo pathwayの役割を明らかとすることを目的とした。肺上皮特異的なTMX誘導型Creリコンビナーゼ発現マウスとTaz floxedマウス及びYap floxedマウスをそれぞれ交配し、肺上皮幹細胞特異的にTAZ/YAPを欠失するマウス系統系統を作出、これらに対し肺線維症及び肺気腫の疾患モデルを適用し解析を行ったが、それらの疾患モデルマウスにおいて、病態に有意な差を確認するには至らなかった。
本研究は、肺の上皮幹細胞において、シグナル経路Hippo pathwayのエフェクターであるTAZおよびYAPが慢性肺疾患の病態に関与しているかを解明することを目的に行われた。TAZおよびYAPはマウスの肺発生において重要な役割を果たしていることが解明されたが、肺線維症モデル・肺気腫モデルにおいては、TAZおよびYAPのノックアウトが肺疾患の病態に寄与することは確認できなかった。TAZ・YAPの役割の解明には、異なる機序の遺伝子改変マウス系統、または異なる疾患モデルを用いたアプローチが必要と考えられた。
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American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology
巻: 62 号: 2 ページ: 256-266
10.1165/rcmb.2019-0218oc