研究課題
若手研究
特発性肺線維症は治療法の限定された非常に予後の悪い慢性の肺疾患である。多くの悪性腫瘍と比較してもその予後の悪さは際立っており、病気を早期に診断しうるバイオマーカーや新規の治療法が確立されることは、この疾患の予後改善のため非常に重要な課題である。われわれは特発性肺線維症に罹患した肺で高発現している遺伝子の一つとしてIL-18BPという分子を同定し、この分子が新規のバイオマーカーや治療標的として有望なのではないかと考え、ヒト肺組織、細胞株およびモデルマウスなどを用いてその有用性を検証するために本研究を計画した。
IL-18BPはIPF患者肺において健常肺よりも強く発現しており、IPF患者の血清IL-18BPは健常者と比べて有意に高値であった。また、血清IL-18BPが高値のIPF患者は低値の患者と比して有意に予後不良であり、Cox比例ハザード解析でも血清IL-18BPとIPF患者の予後との相関が示された。以上より、血清IL-18BPがIPFの新規予後マーカーとして有用であることが明らかとなった。
特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis: IPF)は慢性進行性の線維化を特徴とする間質性肺炎であり, 肺胞の不可逆的な破壊を来す. IPFの臨床経過は, 急速に進行する症例や緩徐に進行するものなど様々であり, 症例ごとに病勢の進行は異なる. このため、疾患進行や予後を予測しうるバイオマーカーはIPFの診療において必要不可欠であり、本研究の学術的意義は大きいと考える。
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