研究課題/領域番号 |
19K17685
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
岩井 悠希 東京医科大学, 医学部, 助教 (90743302)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 腫瘍微小環境 / アシドーシス / 低栄養 / ESI-09 / 脱共役 / 酸性 / エネルギー代謝 / EPAC阻害薬 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍微小環境では低酸素、栄養欠乏およびアシドーシスが生じ、癌細胞は代謝をリプログラムしてこれらの環境ストレスに対応している。アシドーシスに曝露された肺癌細胞は解糖系の抑制、蛋白RNA合成の抑制の2つのエネルギー節約機序を介して栄養欠乏抵抗性を獲得することが明らかになった。その治療薬候補として、EPAC阻害薬がミトコンドリア電子伝達系の脱共役をもたらし、エネルギー代謝を空転させ、細胞内ATPを枯渇させることにより酸性環境下における栄養欠乏抵抗性を改善することが見いだされた。本研究では、肺癌の異種性異所移植マウスモデルを用いてEPAC阻害薬単独及び抗VEGF抗体との併用による抗癌効果を検討する。
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研究成果の概要 |
アシドーシスに曝露された肺癌細胞はグルコースとATPの消費を抑制し、つまり腫瘍細胞を冬眠状態にし、環境ストレスに対応していた。私たちは、その治療薬候補として、cAMP (EPAC) 阻害剤によって活性化される既知のタンパク質であるESI-09が、古典的な脱共役剤よりも安全にミトコンドリア電子伝達系の脱共益をもたらし、ATP産生を減少、ATP消費の増加し、細胞内ATPを枯渇させることにより酸性環境下における栄養欠乏抵抗性を改善することを見いだした。これは、一般的な抗癌剤であるシスプラチンと反対の効果を示した。さらにESI-09は、肺癌細胞生着マウスの腫瘍増殖も抑制した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腫瘍微小環境におけるアシドーシス、栄養欠乏時の腫瘍細胞の生存促進作用を見出し、ESI-09がアシドーシス、低栄養下での代謝のリプログラミングをすることにより、癌細胞のミトコンドリア脱共役剤であることを示した。通常よりも低いグルコース濃度でより高い細胞毒性を発揮し、ESI-09は従来の化学療法よりも安全であり、腫瘍細胞の微小環境下である、低栄養、アシドーシス下の代謝を標的としており、多くの癌細胞にも適応できる可能性がある。
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