研究課題/領域番号 |
19K17694
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
國政 啓 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 呼吸器内科 副部長 (30838892)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | PD-L1 / EGFR / 腫瘍内不均一性 / ドライバー変異 / 次世代シーケンサー / ゲノムバイオマーカー / 肺がん / ドライバー遺伝子変異 |
研究開始時の研究の概要 |
肺癌は本邦における男性の死亡原因の一位であり、年間5万人もの患者が命を落としている(2017年統計)。現在、肺癌の化学療法ではドライバー遺伝子変異の検索と免疫療法のバイオマーカーであるPD-L1の腫瘍発現を評価のもと治療方針を決定するが、これらのマーカーの組み合わせでも最適な治療が決められないことが多い。本研究ではこれらのマーカーに加え、ひとつの腫瘍内でこうしたマーカーを有する癌がどのように共存しているか(腫瘍内不均一性)を遺伝学的に解析し、新たな治療方針の決定につながるバイオマーカーの選定を目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、肺癌腫瘍組織におけるPD-L1発現の違いにドライバー変異が関与しているかどうかを調べるため、最も頻度の高いドライバー変異としてEGFR変異を選択し研究した。腫瘍のPD-L1発現量の高い部分(Tumor proportion score(TPS):100%)と低い部分(TPS:0%)をレーザーマイクロダイセクションし、NGSにより遺伝子変異を解析した。解析の結果、PD-L1発現の不均一性と遺伝子変異の間に関連はなく、PD-L1発現には腫瘍細胞間に存在するリンパ球の多寡が関与していることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
腫瘍細胞におけるPD-L1の発現の程度は抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果の予測因子として確立されており、ひいては本因子が予後因子にもつながる。これまで同一腫瘍組織内でPD-L1の不均一性の背景の遺伝子変異の評価を行った研究はなく、本研究により腫瘍細胞におけるPD-L1発現の制御には腫瘍自体の遺伝子変異ではなく、その他の要因が重要である可能性が示唆された。腫瘍微小環境における組織構造などが関与している可能性もあり、今後の癌免疫療法の効果を引き出すためには、腫瘍自体の変異ではなく、微小環境を標的とした治療開発、戦略が求められる。
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