研究課題/領域番号 |
19K17708
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋本 展洋 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50791589)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | リコトール酸 / ビタミンD受容体 / LCA / 血管石灰化 / 高リン血症 / リトコール酸 / LCA / ビタミンD受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
高リン血症が生命予後悪化と正相関し、リン吸着薬による介入が生命予後を改善させることが知られている。しかしながら、リン代謝を適切に管理するためには、アドヒアランスの低下を引き起こすほどのリン吸着薬が必要であり、新たなリン代謝制御法の確立が望まれている。 リトコール酸(LCA)は腸内細菌により生成される二次胆汁酸であり、ビタミンD 受容体に作用し得ることが知られている。ビタミンDは、リン吸収を促進させるが、LCAがリン代謝に与える影響は分かっていない。我々は本研究で、LCAがリン代謝制御機構に与える影響を解明し、LCAをターゲットとした新たなリン代謝制御法確立への学術的基盤を提供する。
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研究実績の概要 |
リトコール酸 (LCA)を30日間長期投与しても、LCAの効果は減弱しなかった。アデニン誘導性腎不全モデルラットに同様に30日間投与すると、CKD-MBDの代表的病態である血管中膜石灰化が増悪した。既存データと合わせ、LCAはリン代謝に影響を与えることが明確であった。 ヒト及び0.2%LCAを投与したマウスの血中LCA濃度は、0.1 nmol/mL以下であったが、ヒト及び0.2%LCAを投与したマウスの便中LCA濃度は5 μmol/g dry feces程度と非常に高濃度であった。また腸管上皮細胞特異的VDRノックアウトマウスではLCAの腸管リン吸収増加作用は完全に喪失した。以上からLCAは腸管上皮細胞のVDRのみに作用し腸管吸収を増加させると考えられた。 32Pを用いた反転腸管法では、LCAの腸管リン吸収増加はNa非依存性であり、LCAはparacellular pathwayによる腸管リン吸収を増加させると考えられた。次に細胞間結合を構成しているtight junctionの評価を行った。LCAはtight junction構成蛋白であるclaudin3とoccludinの蛋白発現を低下させた。Cldn3 knockoutマウスの腸管で、上記と同様に反転腸管法を行ったところ、野生型マウスと比較し、腸管でのリンのtransportが増加した。Cladudin3は腸管リン吸収を調節している可能性が示唆された。 胆汁酸吸着レジンを投与するとLCAの作用は消失した。LCAへの介入は高リン血症への新たな治療選択肢と考えられた。 今後リン吸収のより詳細なメカニズムの検討を行い、さらにヒトでLCAや腸内細菌へ介入することで、高リン血症を改善することを確認をしていく予定である。
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