研究課題
若手研究
ファブリー病は遺伝的な酵素欠損により、糖脂質が蓄積することで臓器障害をきたす。酵素補充療法は根本的な治療法であるが、臓器障害が進行した状態では治療効果が十分に得られないことが多く、早期発見が重要であるとされている。尿中マルベリー細胞はファブリー病患者に特徴的な尿沈渣成分であり診断につながった報告もある。しかしその起源や本態について不明な部分も多いのが現状である。そこで尿中マルベリー細胞の起源や本態を明らかにし、臨床的意義を明らかにする。
51名のファブリー病(FD)患者を対象に解析を行いマルベリー小体(MB) を認めるが蛋白尿が陰性の患者が全体の41%存在することを確認し、多くの症例でMBが尿蛋白に先行する事を示した。続いてMBが腎臓構成細胞のどの部位から由来するのか探索するため、腎構成細胞のマーカーで免疫染色を行いMBがポドサイト由来であることを明らかにした。さらに半定量MBの量と腎生検標本におけるポドサイトの空砲変性の程度が相関することを示した。また半定量MBはERTの期間が長い症例ほど低値をとり、18か月のERTにより有意に減少する事を明らかにした。
尿蛋白や腎機能障害が出現したファブリー病(FD)では、腎病変に対して酵素補充療法(ERT)では充分な治療効果が得られない。FDの腎病変の早期マーカーの確立が求められる中、FD患者に特徴的な尿沈査であるマルベリー小体(MB)に着目し、その臨床的意義について検討した。本研究により尿中MBがポドサイト障害を示し、蛋白尿に先行する早期マーカーであることと、ERTの治療効果の指標となる事明らかにすることができた。
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Nephrology Dialysis Transplantation
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