研究課題/領域番号 |
19K17772
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鷲尾 健 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80770388)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | アトピー性皮膚炎 / 好塩基球 / IgE / アレルギーマーチ / 蕁麻疹 / FcεRI / IL-4/13 |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー性皮膚炎と蕁麻疹はいずれも皮膚アレルギー疾患と考えられ、両者は密接な関連性がある一方で、互いに異なる点も多い。例えば抗ヒスタミン薬は蕁麻疹では著効を示すことが多いが、アトピー性皮膚炎では補助療法の扱いである。さらにアトピー性皮膚炎の改善後にコリン性蕁麻疹が出現することや、アトピー性皮膚炎をデュピルマブで治療した際にアレルギー性結膜炎が悪化するなど、アトピー性皮膚炎の改善に伴い他のアレルギー疾患が出現することがある。我々はアトピー性皮膚炎において過剰なアレルギーを抑制するメカニズムの一つとして、好塩基球が関わっているのではないかとの仮説を立て、アトピー性皮膚炎患者を対象に観察研究を行う。
|
研究成果の概要 |
研究者らは成人アトピー性皮膚炎(AD)及び健常者の血中好塩基球の解析を行い、活性化マーカーをフローサイトメトリーで測定した。AD患者の好塩基球は抗IgE抗体を用いた刺激に対して反応性の低下を示した。また、AD患者から得られた好塩基球は健常群と比べて、IgE受容体FcεRIを強く発現しているものの、これらの2群では好塩基球の表面に結合するIgEの発現には差異を認めなかった。血清中の総IgEが高値を示す重症患者ほど、刺激に対する反応性の低下及び好塩基球表面のIgE結合性の低下を示し、好塩基球はアネルギー様の状態になっていることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々は過去に蕁麻疹における好塩基球の役割を調べたが、今回はアトピー性皮膚炎における好塩基球の動態の一部を解明し、従来言われているT細胞の異常(Th2細胞の活性化)以外の細胞もアトピー性皮膚炎の病態に関与している可能性を示した。実際の臨床では重症のアトピー性皮膚炎が蕁麻疹を発症するのはアトピー性皮膚炎の改善後にみられることがあるが、高IgE状態では好塩基球がアネルギー状態になっていることが示唆され、臨床における疑問の解決に近づいたと考えている。今後の課題としては実際に強力な治療を行った後での好塩基球の機能に着目したい。
|