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創傷治癒におけるヒアルロン酸の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K17774
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分53050:皮膚科学関連
研究機関愛媛大学

研究代表者

難波 千佳  愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (50736139)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
研究課題ステータス 中途終了 (2019年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワードヒアルロン酸 / 創傷治癒 / 自然免疫
研究開始時の研究の概要

本研究で計画している主な研究項目は、マウス創傷治癒モデルにおけるヒアルロン酸合成酵素、分解酵素の発現の解析、角化細胞などにおけるヒアルロン酸合成酵素、分解酵素の発現調節およびこれらによる創傷治癒に必須な分子調節の解明、ヒアルロニダーゼ1過剰発現マウスを用いた創傷治癒過程の検討でありヒアルロン酸をターゲットとした新規治療法へ展開するための基盤研究とする。今回、創傷形成時におこるヒアルロン酸分解は DAMPであり、免疫賦活化に関与しているという仮説のもと、皮膚に多量に存在するヒアルロン酸の分解が創傷治癒における炎症、とくにマクロファージやケラチノサイト に与える影響について研究を行う。

研究実績の概要

ヒアルロン酸は皮膚の細胞外基質を構成する主な糖鎖である。ヒアルロン酸合成酵素により合成され、ヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)により様々なサイズに分解される。親水性が強く、水分保持や関節での衝撃吸収などの役割を主なものと考えられてきたが、近年、自然免疫における役割が注目されている。自然免疫においては、微生物由来の分子がToll-like receptorsを刺激し免疫を賦活化するとされるが、近年ヒアルロン酸がホスト由来の生体分子(Damageassociated molecular patterns, DAMPs)として皮膚の自然免疫における炎症、特に好中球やマクロファージ、樹状細胞、角化細胞の機能調節において非常に重要な役割を担っていることが分かってきた。
本研究ではヒアルロン酸分解または合成が、創傷治癒における病態に及ぼす影響について解明し、さらにこれを新規の治療法として臨床応用へ展開するための研究基盤を確立することが目的である。本研究においては、ヒアルロン酸の分解酵素であるヒアルロニダーゼ1の条件付き過剰発現マウスを各種作成した。ヒアルロニダーゼ を過剰発現する細胞が異なる各種トランスジェニックマスウスを用いた創傷治癒モデルを使用して、ヒアルロン酸分解の役割の検討を行ったが、非常に興味深い結果を得た。その結果から重要と考えられた細胞系については、細胞培養を用いたin vitroの実験にてヒアルロニダーゼの作用機序についても究めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請者らはヒアルロン酸の分解がDAMPsであることを明らかにするため、 ヒアルロン酸分解酵素であるヒアルロニダーゼ1の条件付き過剰発現マウス(クレリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスとの交配により、クレリコンビナーゼを発現する細胞のみ過剰発現するトランスジェニックマウス)を作成した。このシステムを用いて、マウス創傷治癒モデルによる実験を施行し、ヒアルロン酸分解に対する動的な反応をin vivoで検討し、ヒアルロン酸分解が創傷治癒過程において与える影響を研究し非常に興味深い結果を得た。さらに、その作用機序及びヒアルロン酸分解の作用点として関与している細胞についても解明しつつある。ヒアルロン酸分解が創傷治癒機転において重要な役割を果たしていると考えられる細胞に関しては、その培養系を用いたin vitroの実験を開始している。

今後の研究の推進方策

以前よりヒアルロン酸などの細胞外マトリックスが、創傷治癒過程において重要な役割を果たしているということが明らかになってきた。しかしながら、この点を利用した新しい治療法の研究や開発は欠如している。ヒアルロン酸は皮膚に多く存在するが、その治療薬としての役割として、細胞外基質として水分を保持する、関節などにおいて衝撃を和らげるクッションの働きをする、など以外はこれまで注目されてこなかった。しかし、申請者らがこれまで発表してきたように、その自然免疫の賦活化に於ける役割は非常に重要であると考えられる。創傷治療の新規治療法として、ヒアルロン酸を利用した自然免疫の調節という本研究はこの点で非常に特色のある研究である。今後の研究の推進方策としては
1、 ヒアルロニダーゼ1過剰発現マウスでの創傷治癒病態モデルを用いて、ヒアルロン酸分解の役割をさらに解明する。
2、 病態に関与する細胞におけるヒアルロン酸合成、分解による調節機構を明らかにする。
これらの解明と、ヒアルロン酸またはヒアルロニダーゼの創傷治療への臨床応用へ向けた基盤作成を試みる。医療用に使用されるヒアルロン酸は長期に使用しても副作用の少ない薬剤として知られており、創傷治癒における新規治療方法または薬剤として確立されれば、その意義は大きい。

報告書

(1件)
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Influence of corticosteroid therapy on viral reactivation in drug‐induced hypersensitivity syndrome/drug reaction with eosinophilia and systemic symptoms2020

    • 著者名/発表者名
      Tohyama Mikiko、Hashimoto Koji、Oda Fumiko、Namba Chika、Sayama Koji
    • 雑誌名

      The Journal of Dermatology

      巻: - 号: 5 ページ: 476-482

    • DOI

      10.1111/1346-8138.15294

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 陰囊に生じたcutaneous angiosarcomaの1例2019

    • 著者名/発表者名
      NISHIHARA Katsuhiko、SHIRAISHI Ken、NAMBA Chika、MUTO Jun、MURAKAMI Tatsuro、MORI Hideki、SAYAMA Koji
    • 雑誌名

      Skin Cancer

      巻: 34 号: 2 ページ: 165-169

    • DOI

      10.5227/skincancer.34.165

    • NAID

      130007738934

    • ISSN
      0915-3535, 1884-3549
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] ぶどう膜炎を合併した乾癬の4症例2019

    • 著者名/発表者名
      難波千佳、村上正基、土居千晃、西原克彦、武藤潤、佐山浩二
    • 学会等名
      第34回日本乾癬学会学術大会
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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