研究課題/領域番号 |
19K17789
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 (2020) 産業医科大学 (2019) |
研究代表者 |
田崎 貴嗣 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (10800782)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | WNT10A / 脱毛 / 男性型脱毛症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、我々が初めて開発したWNT10Aノックアウトマウス(WNT10A-/-)を用いて実験を行う。WNT10A-/-が野生型に比し脱毛後の毛の再生が遅いことを確認する。その上で皮膚組織を採取し、Wnt10A以外のWntなどの発毛に関連する蛋白の発現の違いを検討し、その機序を明らかにしたい。特に我々は今までの研究でWnt10Aと線維芽細胞の関連に着目しており、毛乳頭や毛包周囲にある線維芽細胞のWnt10Aを介した毛包の支持、増殖促進の作用についても解析を進めていきたい。この研究によって、外胚葉形成異常の症状改善ならびに男性型脱毛症の原因究明、及びその治療に貢献できると考えている。
|
研究成果の概要 |
WNT10Aは男性型脱毛症の原因遺伝子の候補として近年注目を集めている。我々は世界で初めて開発したWNT10Aノックアウト(KO)マウスを用いてその組織学的、分子生物学的手法を用いて検討した。 WNT10A-KOマウスでは野生型に比し有意な毛包の形態学的変化は見られなかったが、毛髪は細く、毛包周囲の毛細血管の減少が見られた。また血清中の17 beta-estradiol(女性ホルモン)は有意に低く、testosterone(男性ホルモン)は有意に高かった。その原因として男性ホルモンから女性ホルモンに変換する酵素であるcytochrome P450 19A1の有意な減少が認められた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はWNT10AがWntシリーズで従来言われていた毛包幹細胞の増殖活性を促すだけでなく、cytochrome P450 19A1の発現低下に伴う男性ホルモンの増加と女性ホルモンの減少を来たすことが分かった。WNT10A-KOマウスにおける毛包や毛髪、真皮の形態学的特徴は男性型脱毛症と類似しており、男性ホルモンの増加との関連が強く示唆された。我々の研究から、Wnt10aの発現量が男性型脱毛症のリスク因子となる他、局所の補充療法など治療のターゲットとしても考慮される。加えて、我々が開発したWNT10A-KOマウスは男性型脱毛症のよいモデルマウスといえ、創薬の効果判定の面での活用が期待できる。
|