研究課題
若手研究
成人小麦アレルギーは小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの病態を示すことが多く、成人の小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの主要抗原はω-5グリアジンである。申請者らが見出したω-5グリアジン欠失小麦は、小麦アレルギーの予防および治療の一助を担うことが予測される。本研究では、小麦アレルギー患者がω-5グリアジン欠失小麦を摂取することで、経口減感作が成立するか否かを明らかにすることを目的とした。このため、厳密管理環境下でω-5グリアジン欠失小麦の供給体制を確立することにより臨床研究体制を整え、研究の円滑な推進に努める。
「しまね夢こむぎ」は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの原因抗原であるω5-グリアジンを欠失した低アレルゲン化小麦系統である。臨床研究および実用化に向けた小麦の確保を行うため、研究年度全体を通して、島根県内の独立した環境下で栽培を行う体制を整えるとともに、毎年の収穫小麦におけるグルテンの粘弾性および低アレルゲン性を評価した。2019年度は、臨床研究に用いる1BS-18ホクシン小麦の確保を行い、赤カビ病の防除を確認した。2020年度は、臨床研究の完遂に向けた評価を実施し、2021年度は、新規の食品開発を計画し実施した。2022年度は最終年度としてラージスケールでの実施可能性を評価した。
「しまね夢こむぎ(1BS-18小麦系統)」は、2017年より島根県益田市の地域事業者が栽培を開始している。2019年、「しまね夢こむぎ」の育成者である京都大学農学部名誉教授の遠藤隆博士、開発当初(2007年)よりグルテンの性質の評価を手掛けていただいているグリコ栄養食品、1BS-18小麦系統の低アレルゲン性評価(動物実験)を手掛けていただいている広島大学、島根県立大学ら研究者および多くの地域事業者からの応援を得て、「しまね夢こむぎ」プロジェクトを発足している。
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