研究課題/領域番号 |
19K17813
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 (2020-2022) 東北医科薬科大学 (2019) |
研究代表者 |
宮部 千恵 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80540426)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 血管炎 / 免疫チェックポイント / 皮膚 / 病原体 / T細胞 / PD-1 / 抑制性共刺激分子 |
研究開始時の研究の概要 |
PD-1に代表される抑制性共刺激分子は、T細胞の免疫疲弊(増殖能低下、サイトカイン産生能低下、免疫記憶形成能低下)を誘導することで、過剰な免疫反応を制御する役割を持つが、近年血管炎病態への関与が示唆されている。 中型~大型血管炎においては一部研究が行われているが、小型血管炎における抑制性共刺激分子の研究は全く進んでいない。本研究では、小型血管炎で症状の現れやすい皮膚組織、および末梢血標本を用いて、小型血管炎発症における抑制性共刺激分子の動態を明らかにし、新たな診断・治療標的となる可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
昨年度までに、血管炎患者においてPD-1, CTLA-4などの免疫チェックポイント分子の発現が亢進しており、全身型血管炎よりも皮膚限局型の血管炎で、より高発現していることを見出した。また、血中の可溶性PD-L1値は全身型の血管炎で特に上昇しており、炎症反応の有無と相関が見られた。このように、PD-L1/PD-1系をはじめとする免疫チェックポイント分子発現の変化が、血管炎の病態における過剰なT細胞活性化の制御に寄与している可能性が示唆された。 上記の結果をもとに、更に血管炎患者検体の収集を継続し、血管炎の長期予後と免疫チェックポイント分子発現の関連性について検討する予定であったが、研究代表者の所属施設の移籍に伴い、新たな施設で予定していた項目を検討することが困難であった。このため、本年度は免疫チェックポイント分子発現の変化に寄与し得る病原体と皮膚血管炎の関係に着目した研究を行った。 本年度、代表的な皮膚血管炎の一種であるIgA血管炎12例の患者検体を収集し、皮膚組織を各種染色にて検討したところ、12例中9例で血管周囲に溶連菌由来因子NAPlrが沈着していることを見出した。このNAPlr沈着部位は、プラスミン活性を示す部位および血管炎の見られる部位と一致しており、組織に沈着したNAPlrのプラスミン結合性が血管障害の誘因となっている可能性が考えられた。更に、このNAPlrは各種腎炎の原因抗原としても知られており、皮膚や腎臓に生じる血管炎の共通抗原として作用している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究結果を、更に一報学術誌に報告した。
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今後の研究の推進方策 |
血管炎患者検体から得られた研究結果をもとに、血管炎の発症・進展機序を動物モデルを用いて検証していきたい。
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