研究課題
若手研究
再生不良性貧血(再不貧)は、造血幹前駆細胞に対する細胞傷害性T細胞の攻撃がきっかけとなって発症する自己免疫疾患である。これまでの研究により、再不貧では特定のHLAクラスIアリルを欠失した造血幹前駆細胞が細胞傷害性T細胞からの攻撃を免れた結果、造血を支持することが分かっている。再不貧の白血球で欠失しやすいHLAクラスIの中でも、HLA-B5401を欠失した血球を持つ再不貧患者はほとんどが男性であることが最近の研究により明らかになった。本研究では、男性に偏って発症するHLA-B5401欠失血球陽性の再不貧の免疫病態と、HLA-B5401が提示する再不貧の自己抗原を明らかにする。
本研究では、HLA-B5401欠失血球陽性の再生不良性貧血(再不貧)の免疫病態と、HLA-B5401が提示する自己抗原を明らかにすることを目的とした。HLA-B5401欠失血球陽性の再不貧患者から、抗原特異的に優勢に増殖しているT細胞レセプター(T-cell receptor: TCR)の配列を同定した。また、再不貧患者のHLA-Aアレル、Bアレルに共通してみられるexon1領域のミスセンス変異を同定し、この変異を高感度で検出できるdroplet digital PCRを開発した。HLA-Bアレルにおいて、HLA-B5401の変異はHLA-B4002についで2番目に多いことが明らかになった。
HLA-B*54:01を保有する再不貧例において、6pLOHを有する症例の頻度が高かったことや、HLA-B*54:01に体細胞変異を有する症例が認められたことから、HLA-B5401は造血幹細胞におけるT細胞への自己抗原提示に重要な役割をしている可能性が示唆された。HLA-B5401欠失血球を認める症例は高率に男性であり、アンドロゲン受容体(AR)のCAG リピート数が短縮していた。このため、ARがHLA-B5401欠失血球陽性例の再不貧発症に関与しており、男性に偏って発症する理由となっている可能性が考えられた。
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