研究課題/領域番号 |
19K17847
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
小林 央 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (10749542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 造血幹細胞 / 静止期維持培養 / ステムセルエイジング |
研究開始時の研究の概要 |
造血幹細胞は全ての血球を作り出すことで生涯にわたって造血恒常性を保つ。加齢に伴って造血幹細胞はその性質を徐々に変えていき、造血再構築能が低下する。こうした造血幹細胞の加齢変化(エイジング)は造血微小環境と造血幹細胞の長期にわたる相互作用の帰結であるが、生体内の複雑性からどの環境因子が加齢に関係するのかは不明であった。本申請課題では、申請者が開発した既知因子のみで構成された造血幹細胞の静止期維持培養系と、若齢から高齢造血幹細胞の単一細胞RNA-シークエンスより得られた加齢特異的遺伝子による評価を組み合わせて、造血幹細胞の加齢因子を特定するとともに、造血幹細胞の老化フリーな長期培養法の開発を行う。
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研究成果の概要 |
造血幹細胞(HSC)は生涯にわたる造血を維持している。私たちは最近、試験管内で造血幹細胞を静止状態に保つ培養法を開発した。しかしこの方法で培養した造血幹細胞は加齢に伴う表現型を示した。私たちは造血幹細胞の加齢マーカーの発現を抑制する因子と促進する因子を探すことで、維持培養の条件を改善した。TGF-βやレチノイン酸受容体のシグナルは加齢に伴う表現型を促進し、コレステロールは加齢に伴う表現型を抑制した。これらの要因を組み合わせることで、高TPO培養は老齢造血幹細胞のリンパ球産生を回復させ、老齢造血幹細胞よりも高い再構成能力をもたらした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
造血幹細胞は幹細胞モデルとしての基礎科学的な側面と、造血幹細胞移植による血液疾患や先天性疾患の治療という臨床的な側面から重要な細胞である。しかし造血幹細胞の未分化性維持の必要最小限の要素は何か、そしてどのような環境因子が造血幹細胞を加齢させ、その機能喪失にかかわっているかは十分理解されておらず、結果として長期にわたる造血幹細胞の体外維持培養法も未確立であった。本研究により、幹細胞が生体内で一生涯にわたり維持されるメカニズムとは何か、そしてより良い移植医療のための質の高い幹細胞に必要な条件は何かという両面について、幹細胞の機能を維持する方法論を提供することにつながる。
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