研究課題
若手研究
1) 骨髄腫細胞に特徴的な細胞外酸感知受容器と酸排出に関わるモノカルボン酸トランスポーター(MCT)の発現制御機構、酸感受の下流で活性化する生存シグナル経路やエピゲノミックな遺伝子異常発現機序を解明し、2) PI3K-AktおよびPIM2などの生存経路の阻害やMCT阻害による細胞内pHの低下がもたらす解糖系やミトコンドリアによるエネルギー産生やコレステロール合成系等の代謝経路、薬剤排出ポンプ発現への影響や自己複製能をもつ癌幹細胞やSP分画の生存に及ぼす効果を明らかにする。
骨髄腫細胞の骨病変部酸性環境への順応や治療抵抗性獲得の機序の解明とがん酸環境を標的とする新規治療法の創出を目的に検討を行った。骨髄腫細胞は酸を感受し、pH6.4程度までの酸性環境ではPI3K-AktおよびPIM2を介する生存シグナル経路を活性化した。そしてこの活性化がさらに自らのpHセンサーの発現を増強させつつ、遺伝子発現をエピジェネティックに制御調節し、酸のストレスに順応しつつ薬剤耐性を惹起していることが示された。がん酸環境を標的とする新規治療薬の候補として、ベンダムスチン、PIM2阻害活性を有するチアゾリヂンジオン誘導体およびモノカルボン酸トランスポーター阻害薬などが見出された。
本研究では、多発性骨髄腫における骨病変が酸性環境下で進展し、治療抵抗性を獲得する機序を酸代謝の観点から分子生物学的に捉え、がん酸性環境を標的とした新たな治療薬(Akt阻害薬、PIM阻害薬、モノカルボン酸トランスポーター阻害薬)を見出した。本研究は、破壊性骨病変を特徴とし、難治性造血器疾患である多発性骨髄腫において新規治療薬の創出と開発に寄与するため、学術的意義、社会的意義は非常に大きいと考える。
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