研究課題/領域番号 |
19K17868
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
蒸野 寿紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20646038)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 移植後後期腹水症 / 同種造血幹細胞移植 / 晩期合併症 / 慢性移植片対宿主病 / 肝中心静脈閉塞症/類洞閉塞症候群 / 血栓性微小血管障害 / バイオマーカー / 血管内皮細胞障害 / 造血幹細胞移植 / 同種移植後合併症 / 難治性腹水症 / 類同閉塞症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、同種移植後合併症である移植後後期腹水症の臨床像を明らかにし、その発症機序の解明から、早期診断バイオマーカーを探索する。腹水をきたす他の移植関連合併症(慢性肝移植片対宿主病、後期発症肝類洞閉塞症候群など)との異同を念頭に、臨床像と肝線維化機序の検討を行う。また、早期診断バイオマーカーの候補を探索する。本研究の概要は、1.臨床像(発症に至る背景、検査・画像所見)の検討と発症リスクファクターの抽出、2.肝線維化の機序解明、3.診断に有用なバイオマーカー探索、である。移植後晩期の致死的合併症である「移植後後期腹水症」を克服することで移植成績の向上に寄与し、安全な移植医療提供に貢献する。
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研究実績の概要 |
当科ではこれまで同種造血幹細胞移植(同種移植)後、100日以降の後期に肝線維化を伴う難治性腹水貯留をきたす、「移植後後期腹水症」を経験してきた。移植後後期腹水症は、慢性移植片対宿主病(GVHD)や肝中心静脈閉塞症/類洞閉塞症候群(VOD/SOS)とは異なる病態と考えられ、1.移植後100日以降に発症、2.腹水優位の体液貯留、3.慢性移植片対宿主病の所見に乏しい、4.腹水貯留の明確な原因が不明、を共通項とする新たな疾患概念であると位置付けている。病理解剖例での肝線維化および血清ヒアルロン酸値高値から、肝線維化の病態が疑われるが、詳細は明らかではない。そこで、本研究では、(1)疾患概念の確立、(2)病理解剖組織検体と患者血清を用いた肝線維化機序の解明、(3)診断に有用なバイオマーカー探索、を目的としている。特に同種移植後に腹水をきたす他の移植関連合併症(慢性肝移植片対宿主病、後期発症肝類洞閉塞症候群など)との異同を念頭に、臨床像と肝線維化機序の検討を行っている。これまで、肝線維化マーカーであるM2BPGi・オートタキシンを測定し、移植後後期腹水症患者ではオートタキシンと比較し、M2BPGiが高値となっていることが確認された。少数例での検討であり、これらのバイオマーカー間の差異がどのように病態を反映しているかを明らかにすることが、今後の研究の方向性と考えていたが、移植後後期腹水症の新規発症が少なくなっており、バイオマーカー探索は困難と判断された。そのため、病理解剖組織検体を中心とした検討を行う方針としている。また引き続き、同種移植患者全般、化学療法を要する血液疾患患者に関する検討も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度は、研究代表者のCOVID-19流行などへの対応による業務量の増加から、進捗が遅れた。当科における同種移植患者のデータベース構築は引き続き行っているが、移植後後期腹水症発症は減少している。新規治療開発などの要因による同種移植対象患者層の変化が一因と考えられる。そのため、 バイオマーカー探索は困難と判断され、病理解剖組織検体を中心とした検討を行う方針とした。令和4年度は移植後腹水症患者3例で、肝臓の免疫組織化学染色によりリンパ球浸潤の有無について検討を行った。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、移植後後期腹水症発症は減少しており、予定していたバイオマーカー測定ができず、次年度使用額が生じた。また令和4年度は、研究代表者のCOVID-19流行への対応による業務量の増加から、進捗が遅れたのも一因である。令和5年度はこれらの課題に取り組むため、次年度使用額は全額使用予定である。
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