研究課題
若手研究
高リスク進行期造血器腫瘍において同種移植は唯一の治療方法となることが多く、強力な抗腫瘍免疫を有すHLAが半分適合したハプロアイデンティカルドナーからの移植(ハプロ移植)は有効な治療方法となり得る。しかし再発率は依然高い。今回の研究では抗腫瘍効果を増強するためにドナーのリンパ球のみ輸注するドナーリンパ球輸注(DLI)をハプロ移植後に計画的に行うことで、移植後再発を予防する方法を確立することを目的としている。さらに再発をした場合には再発腫瘍細胞のHLAを検討することで、再発後の至適治療の選択を行っていく。これらの研究により、ハプロ移植後治療成績向上のための細胞治療の確立を本研究の最終目標とする。
アレムツズマブを用いたハプロ移植後の治療成績向上に対する取り組みとして、ハプロ移植後の地固め療法としてドナーリンパ球輸注(DLI)を行う研究とハプロ移植後再発時に腫瘍細胞のHLAハプロタイプの同定を行う研究を行った。前者は当初非寛解期移植患者のみを対象としたが、ハプロ移植症例の後方視的解析を行い、移植時血液学的寛解であるが微小残存病変陽性の患者こそDLIによる再発予防が有効性を発揮できると判断され、プロトコール改定を行い現在も研究を遂行中である。腫瘍細胞のHLAハプロタイプの同定については検査方法を確立することができた。こちらもその後の治療経過への影響も検討するために現在も症例蓄積中である。
ハプロ移植の施行数は増加している。ハプロ移植の方法としてはドナー造血幹細胞輸注後に大量シクロホスファミドを投与するPTCY法が最も行われている。しかしこの方法では輸注後のサイトカイン放出症候群や心毒性の問題がある。アレムツズマブを移植前処置に用いる我々のハプロ移植ではこのような問題は生じない。しかし免疫抑制効果が高い分、再発リスクが高いことが問題となる。その問題を克服するための研究を施行し、まだ現在進行形ではあるが今後の研究の柱となるプロトコールや検査方法を確立した。さらに症例数を増やして有効性を示すことにより、安全で再発率も少ないハプロ移植方法の確立につながると考えている。
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