研究課題
若手研究
脳梗塞や心筋梗塞などの血栓性疾患は、日本のみならず世界においても死因の上位となっている。血小板同士を接着させる血漿タンパク質von Willebrand factor (VWF)と過剰なVWFを切断する酵素ADAMTS13による調節機能は血管内での血小板血栓形成を防ぐのに重要である。これらに関して、様々な研究が進展しているが、ADAMTS13遺伝子の発現調節による血中濃度変化ならびに血栓形成能への影響は不明である。本研究では、ADAMTS13の発現調節機構を調べることで、従来の血栓症とは異なる新たな病因を明らかにできる可能性がある。さらに、ADAMTS13の発現制御に基づく血栓症のリスク軽減や治療法の開発につながるものと期待される。
血液凝固反応の初期に起こる血小板血栓形成は、血漿タンパク質VWFとVWF切断酵素ADAMTS13によって調節されている。これまで、ADAMTS13とVWFの遺伝学的・生化学・構造学的解析が行われてきたが、その発現制御の報告は少ない。本研究では、ADAMTS13が産生される肝臓の肝星細胞株を使って、ADAMTS13がどのように制御されているかを調べた。肝星細胞株のADAMTS13は肝臓の線維化に対して効果がある試薬で転写が上昇することがわかった。
ADAMTS13の遺伝子異常や活性阻害抗体の出現は、細血管内で血小板の凝集塊ができる血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病因となる。ADAMTS13は血液凝固応答に関して重要な役割を果たすので、その遺伝子発現制御も重要になる。ADAMTS13の遺伝子発現制御が明らかになれば、その遺伝子発現制御にかかわる因子を標的とした治療薬を用いることができるので治療方法の選択肢が広がる可能性がある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Genes Cells
巻: 25 号: 1 ページ: 22-32
10.1111/gtc.12732
J. Pept. Sci.
巻: 25 号: 9
10.1002/psc.3200