研究課題/領域番号 |
19K17922
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
橋本 佑輔 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40649381)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 薬剤耐性 / プラスミド / 腸球菌 / バンコマイシン / バンコマイシン耐性 / 二成分制御系 / 線状プラスミド / バンコマイシン耐性腸球菌 / 発現メカニズム / 病原性 |
研究開始時の研究の概要 |
バンコマイシン耐性腸球菌は、治療薬の少なさから米国CDCが”serious”と位置付けている重要な薬剤耐性菌である。我々はバンコマイシン耐性遺伝子群を保持しながらも、バンコマイシン耐性度の低い腸球菌が国内に潜在的に存在していること発見し、この低度耐性化のメカニズムを解明した。この研究過程の中で、バンコマイシン耐性遺伝子群の未知の調節因子の存在が示唆された。本プロジェクトは、バンコマイシン耐性遺伝子群の発現調整に関与する未知の宿主因子の同定、分子メカニズムの探索を行うことを第一の目的とし、腸球菌内のバンコマイシン耐性遺伝子群の発現メカニズムの知見を深めることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究は腸球菌のバンコマイシン耐性遺伝子群の新規転写調節因子探索を目的とし、変異導入実験・Nisin誘導発現ベクターを利用して実施したが、バンコマイシン耐性に寄与する新規転写調節因子は発見できなかった。並行して行った研究では、国内で分離されたバンコマイシン耐性腸球菌から腸球菌初の線状プラスミド(pELF型プラスミド)を発見・報告した。本プラスミドは複数の薬剤耐性遺伝子を保有し、接合伝達にて受容菌を一度に多剤耐性化させること、更に本プラスミドは複数の腸球菌種へ伝達可能な広宿主域を示すことを明らかとした。またこのpELF型プラスミドを原因とする国内医療機関でのVREの院内伝播の存在も明らかとした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が治療薬の少なさから全世界的な問題となっている。このバンコマイシン耐性遺伝子群の腸球菌間の伝達には、菌体内に染色体とは別に存在するプラスミドが重要な役割を果たしている。本研究成果として、腸球菌で初の線状プラスミド(pELF型プラスミド)を発見した。このプラスミドは複数の腸球菌種へ高頻度に伝達することが可能で、バンコマイシンを含む複数の薬剤耐性遺伝子を保有することから、受容菌を効率的に多剤耐性化させることが可能であった。日本国内では既にpELF型プラスミドを保有したVREの拡散が確認されており、VREの急速な増加・拡散に寄与しうるメカニズムを明らかとした。
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