研究課題
若手研究
本研究は同種造血幹細胞移植後の帯状疱疹に代表される水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化を弱毒生水痘ワクチンの接種によって予防できるかどうかの検証を目的とする。具体的には、同種造血幹細胞移植後に水痘ワクチンを接種した患者の検体を用いて、ウイルス特異的な液性免疫または細胞性免疫の反応が起こっているかを患者ごとに解析し、その結果を実際の臨床経過(再活性化の有無)と統合することで、水痘ワクチンの有効性を評価する。
同種造血幹細胞移植後に弱毒生水痘ワクチンを接種した患者の水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)特異的免疫誘導について評価した。ワクチン接種時のCD4陽性T細胞数、CD4陽性T細胞/CD8陽性T細胞比、ワクチン接種後のVZV IgG値が、ワクチン接種後のVZV再活性化率の予測に有用であった。また、麻疹・風疹・ムンプスに対する抗体価は多くの患者が移植後数年で陰性化する。抗体陰性患者に対して抗体陽転化のためには、生ワクチンを1回接種しただけでは不十分である。
同種造血幹細胞移植後のワクチン接種によって、ウイルス特異的免疫誘導がある程度は得られることが示された。しかし、症例によって反応は様々で、ワクチンの効果がほとんど得られない症例もあり、ワクチン接種前の免疫能の回復の程度がワクチンの効果と相関することが示唆された。同種移植後のVZVをはじめとするウイルスワクチンによる免疫再構築について新たな知見が得られたと同時に、実臨床において同種移植患者のウイルス感染予防法の確立の一助になった。
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Transplantation and Cellular Therapy
巻: - 号: 5 ページ: 436.e1-436.e8
10.1016/j.jtct.2021.02.027