研究課題/領域番号 |
19K17942
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 神戸常盤大学 (2023) 長浜バイオ大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
伊藤 洋志 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (20362387)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 好中球 / オートファジー / 感染症 / 炎症 / 自然免疫 / ミトコンドリア / DAMPS / IL-8 / 細胞死 / S100A8/S100A9 |
研究開始時の研究の概要 |
好中球は白血球の一種で、強力な殺菌能によって生体防御の最前線で中心的な役割を果たす。しかし、過剰に働くと自らの組織や臓器の障害を引き起こす功罪併せ持つ存在である。本研究は、この好中球の強力な働きを迅速かつ厳密に制御する生体内の仕組みの解明を目指す。具体的には、細胞内自己成分の分解機構であるオートファジーが、好中球の細胞内に豊富に存在するS100A8/A9蛋白質を介して好中球の働きを制御する機構について研究を行う。本研究により、オートファジーを介した好中球機能の制御に基づいた感染症や炎症性疾患に対する新たな治療法や、S100A8/A9蛋白質の測定による炎症病態の評価などの臨床応用に繋がる成果が期待される。
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研究実績の概要 |
白血球の一種で最も多くの割合を占める好中球は、体内に侵入した細菌に対して旺盛な食作用と強力な殺菌作用を発揮し、生体防御の一次機構において中心的な役割を担っている。しかし、好中球が過剰に働くと自らの組織や臓器の傷害を引き起こす。よって、好中球機能は生体内の環境に応じた迅速かつ厳密な制御下に置かれ、その仕組みのひとつとして好中球自身に由来する成分のオートクラインによる作用機構が合理的と考えられる。 研究代表者はこれまでに、好中球の食作用の亢進に伴うオートファジーの誘導を明らかにした。その際、細胞質に生じたオートファゴソームに細胞内小器官のひとつであるミトコンドリアが内包されることに注目した。感染巣に集積した好中球は食殺菌作用を果たした後に細胞死に至る。この時、自然免疫系を活性化させる内在性分子のひとつとしてミトコンドリア由来成分の細胞外放出が考えられる。2022年度以降より行っているミトコンドリアタンパク質由来の合成ペプチドを用いた実験結果より、健常人末梢血から分離した好中球より、好中球を局所に動員(遊走)させる走化性因子のひとつであるIL-8や、殺菌作用に重要な活性酸素の産生誘導、さらに好中球の遊走が示唆された。好中球のミトコンドリア由来の成分が、新たに感染巣に動員される好中球に対して作用を及ぼす可能性が考えられる。そこで、好中球を種々の刺激条件で培養後の上清試料を回収し、試料中のミトコンドリアタンパク質由来のペプチドを定量する実験系の構築を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者は2023年度に現所属機関へ異動した。これに伴い、研究機器や試料等を現所属機関へ移管して研究環境の構築に時間を要しており、研究課題の実施計画に対して進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト好中球のミトコンドリアタンパク質由来のペプチド定量の実験系は、2022年度までに得た試料を用いて検討を行うことが可能である。所属機関で研究倫理申請の承認後は、新たに実験目的に最適化した条件で得た試料を用いる。好中球のミトコンドリア由来のペプチドの定量と、それらが好中球機能を誘導すること、さらにオートファジーの誘導とペプチドの細胞外放出との関係を解析する予定である。
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