研究課題/領域番号 |
19K17945
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2023) 国立感染症研究所 (2019-2022) |
研究代表者 |
齊藤 慎二 北海道大学, ワクチン研究開発拠点, 特任講師 (80787200)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 迅速診断法 / モノクローナル抗体 / IgA / 鳥インフルエンザウイルス / 検査法 / ELISA法 / イムノクロマト法 / 抗体 / H9N2 |
研究開始時の研究の概要 |
抗体の親和性が低下したインフルエンザウイルスに対して、抗体の多量体化により活性が補償される現象が明らかになった。抗体の多量体化は定常領域で起こるため、抗原結合部位には依存せず理論上全ての抗体に対して応用可能と考えられる。そこで抗原結合部位に依存しない抗体の結合活性増強法を用いた検査法の開発を目指す。 新たなパンデミックを引き起こすことが危惧されている鳥インフルエンザウイルスA(H9N2)を対象とし、A/H9亜型ウイルスのHAのアミノ酸配列の保存性の高い領域に対するモノクローナル抗体を作製する。また、診断法に応用可能な多量体抗体の作製法を検討する。これらを組み合わせて診断法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
イムノクロマト法やELISA法は抗原抗体反応を利用した広く使用されている検査系である。これらの方法は基本的に使用する抗体の性質(結合親和性・特異性等)により、検査系の性質が規定される。しかしながらCOVID-19のような新たな感染症発生時に結合親和性の高い抗体を短時間で準備することは難しい。そのため、抗体の結合親和性自体の増強とは別に、多くの感度増強法が開発されている。 申請者が開発した「抗体の抗原結合部位に依存しない抗体の活性増強法」はヒトのIgA抗体で多量体を作製する技術である。この方法は抗体の抗原結合部位に依存せず抗体の活性を増強することができる、また他の感度増強法である蛍光検出法などと組み合わせることで相加的に感度の増強を行うことも理論上可能である。 多くの既存の抗原抗体反応を利用した検査法はIgG抗体を利用しているので、シームレスに既存検査法に導入できるようにするため、ヒトのIgA抗体の多量体化技術を用いてIgG抗体を多量体化する方法の検討を行った。 同一抗体クローンでマウスIgG(mIgG)、2022年度に作製したマウスIgGとヒトIgA2のキメラコンストラクト(mIgGhA2)の単量体と多量体の3種類の組換え抗体を作製した。それらの抗体とA/Narita/1/2009 (H1N1pdm09)由来の組換えHA を用いてELISA法により増強効果を検討した。同一濃度でのシグナル強度を比較したところ、mIgGhA2の多量体> mIgGhA2の単量体>mIgGの順であり、ヒトのIgAで認められた現象と同様に、このキメラコンストラクトでも感度増強効果を確認できた。 来年度は感度増強効果のクローン依存性や広域反応性を検討し、結果の普遍性などを確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国立感染症研究所の職員という職務上、2019年末に発生した新型コロナウイルス対策に従事する必要が生じた。2023年度は研究を実施できる時間が改善されつつあり、過去に企図していた実験をいくつか実施した。しかし昨年度は感染研職員の任期が満了するにあたり、新たな研究先を探す事などに時間を取られてしまい、研究に遅れを生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は2022年度までに検討したマウスIgGとヒトIgA2のキメラコンストラクトを使用して、実際にELISA系を構築し、多量体化による検出系の感度増強効果を検討した。 来年度は感度増強効果のクローン依存性や広域反応性を検討し、結果の普遍性などを確認する予定である。得られた実験の結果の論文化も進め、社会へ知識の還元を実施したい。
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