研究課題
若手研究
HSD10病は稀なX連鎖劣性遺伝形式の先天代謝異常症であり、重症例では神経退行をきたし予後不良である。これまで、本邦での3症例全例を当教室で診断した。同じHSD10病でも遺伝子変異の種類によって臨床像に非常に大きな差異があり、その差がどの機能の異常によるのかまだ明らかでないことが多い。今回、本邦症例で同定されたHSD10病の変異タンパクの機能を解析することで、臨床的重症度と変異タンパクの機能障害にどのような関連があるのかを明らかにする。
先行研究で確立したpET28aを用いた大腸菌タンパク発現系を用いてHSD10タンパク(HSD17B10)の機能解析を進めた。イソロイシン代謝系における酵素活性測定では、より迅速で簡便な評価が可能となり、精製タンパクによるwild-typeと病的変異(重症例と軽症例)の差異について追加解析を実施できた。ミトコンドリア内コレステロール代謝系の17β-hydroxysteroid脱水素酵素の活性測定系を樹立するため、反応条件を変えながら最適化も進めている。また、pET Duetベクターを用いて、HSD10とMRPP1の共発現にも成功したため、タンパク結合能等の機能評価へつなげていく予定である。
申請者らはこれまで、ケトン体代謝異常症の遺伝子解析や機能評価を継続して行ってきた。そして、当教室において、国内初のHSD10病の幼児例を含む本症3症例を明らかにしており、国内での解析を精力的に実施している。HSD10病の中でも、重症例と軽症例では臨床症状には大きな差異がある。HSD10病の詳しい病態や長期予後は不明な部分が多く、治療法も確立していない。本研究の結果は国内外問わず学術的にも臨床的にも大きな意味があるものと考えている。
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