研究課題/領域番号 |
19K18058
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大坪 竜太 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (80570043)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | image-guided surgery / 乳癌 / HER2陽性 / 近赤外線 / 蛍光色素 / Image-guided surgery |
研究開始時の研究の概要 |
乳房部分切除術は術前画像診断によるマーキングと術中の触診所見を基に切除範囲を決定するが、断端陽性による再切除率は17-38%とされる。特にHER2陽性乳癌の断端陽性は高率で、術中に病変を蛍光色素で可視化するIGSの開発が望まれている。HER2陽性乳癌に対するTmabを用いたtracerに 関する前臨床研究が報告されているが、術前治療のTmabがHER2受容体を占拠するマスキング効果がtracerとしてのTmabの結合を阻害する可能性があるも未だ証明されていない。そのため、Tmabによる術前治療がHER2受容体に及ぼす影響を明らかにし、IGSに適切なtracerを開発する。
|
研究成果の概要 |
術前投与した分子標的薬がトラスツズマブ(Tmab)・ペルツズマブ(Pmab)に蛍光色素を付着したトレーサーの機能を抑制するマスク効果を生じるという仮説を立て、マウスを用いた実験を行った。術前治療としてのTmab投与後にTmab+蛍光色素を投与した群では投与後2-8日の全ての期間で術前治療としてのTmabがない対照群と比較して蛍光強度が低い傾向あり。また、術前治療としてのPmab後にPmab+蛍光色素を投与した際にも同様の傾向あり。また、HER2受容体とTmab・Pmab+蛍光色素が細胞内に取り込まれる細胞内移行が癌細胞株を用いた実験で認められ、この細胞内移行が前述のマスク効果を回避していた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
HER2陽性乳癌は乳房部分切除の際に癌が露出する断端陽性となる可能性が高く、術中に癌細胞を可視化するイメージガイド下手術の開発が望まれている。ま た、HER2陽性乳癌の予後は元来不良であるが、TmabやPmabによる分子標的治療薬と化学療法が予後を大きく改善させている。今回実験で証明したマスク効果と細胞内移行はHER2陽性乳癌のイメージガイド下手術の開発の際に重要となってくる、病変の描出不良の原因の一つとなりうる。そのため、マスク効果が生じる前の可視化、つまり手術直前のトレーサー投与、または細胞内移行が完了した後のトレーサー投与が有効である可能性を示唆する結果となった。
|