研究課題/領域番号 |
19K18073
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 公益財団法人がん研究会 (2020-2021) (財)冲中記念成人病研究所 (2019) |
研究代表者 |
尾崎 由記範 公益財団法人がん研究会, 有明病院 乳腺内科, 副医長 (60756683)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 乳癌 / EMT / IL17RB / IL33 / FSTL1 / 腫瘍免疫 / 免疫 / 治療抵抗性 / Polyploidy / 乳がん / がん幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
乳がんにおける【IL17RB】分子の発現ががん細胞の生物学的特性やがん微小環境、免疫ネットワークに与える影響など、乳がん病態における役割については、未だ明らかでない。我々はこれまで、EMTs制御転写因子Snailを発現したがん細胞は、自身が悪性形質を獲得するだけでなく、本来はがんを攻撃するべき免疫機能を抑制して不全化してしまう新たながん進展機構を明らかにしてきた。最近、このメカニズムの一部に、IL17RBが関与している可能性を見出している。そこで本研究では、乳がん細胞を細胞生物学的、腫瘍免疫学的、臨床的な観点から網羅的に総合的に解析してIL17RB発現の意義を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
転移・再発性の乳がんを克服することを最終目標に、IL17RB発現の意義を明らかにするために研究を行った。我々はIL17RB強制発現細胞株の樹立に成功し、IL17RB強制発現細胞株はEMTを惹起するとともに、抗がん剤治療に反応してIL33を放出し、これがマスト細胞の浸潤を招いて腫瘍の増殖を促進していることが示唆された。また患者の腫瘍組織を用いた解析ではIL17RB発現の高い腫瘍細胞は高い浸潤能を有し、乳がんの再発に関わっていることが示唆された。以上のことから、乳がん治療においてIL17RB-IL33軸を標的にする臨床的意義が提示され、治療成績の向上に貢献できる可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
早期/局所進行乳癌の約3割は再発をきたし、転移再発乳癌は依然として根治不能である。その背景には、がんの上皮間葉転換 (EMT)やEMTs制御機構が関わっていると考えられる。乳癌においてIL17RBがEMTや再発にどのように関わっているかを解明することで、乳癌の再発抑制、再発後の転移制御を目指した治療開発が可能となり、乳癌再発の低下や長期生存を目指すことができるようになる。今回我々は、IL17RBが乳癌細胞のEMTを惹起する予後不良因子であり、それを克服するためのIL17RB-IL33軸を標的とした治療開発の臨床的意義を提示することができた。
|