研究課題/領域番号 |
19K18083
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 謙一 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (60781721)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 腫瘍血管正常化 / 解糖系 / 肝細胞癌 / 腫瘍血管 / PFKFB3 |
研究開始時の研究の概要 |
肝細胞癌に対する最も有効な治療法は外科手術であるが、根治切除後にも高率に肝内転移あるいは肝外転移を来す(5年無病生存率は約30%)ため、新規治療薬の開発は喫緊の課題である。肝細胞癌の転移を抑制する新規治療薬の開発を目的とし、既報告から解糖系酵素 PFKFB3 に着目した。臨床検体における PFKFB3 の発現と予後との関連を評価し, マウス同所性肝細胞癌モデルを用いて PFKFB3 阻害薬による腫瘍および腫瘍血管への影響を評価する。さらには腫瘍血管内皮細胞の単離解析を行い、PFKFB3阻害薬が腫瘍血管内皮細胞へ作用するメカニズムを検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、肝細胞癌における解糖系促進因子PFKFB3の意義について検討した。肝細胞癌切除標本において、腫瘍細胞および腫瘍血管内皮細胞におけるPFKFB3共陽性群は有意に予後不良であった。PFKFB3阻害剤の有用性を細胞実験とマウス皮下腫瘍モデルで検証したところ、PFKFB3阻害剤は腫瘍増殖抑制効果を示し、腫瘍血管正常化を誘導した。 肝細胞癌におけるPFKFB3の髙発現は予後不良因子であり、腫瘍増殖の抑制および腫瘍血管正常化によりPFKFB3は肝細胞癌の有望な治療標的となりうることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肝細胞癌に対する最も有効な治療法は外科手術であるが、根治切除後にも高率に肝内転移あるいは肝外転移を来す(5年無病生存率は約30%)。一方、他癌腫と比較しても肝細胞癌に対する全身化学療法の選択肢は非常に限られており、新規治療薬の開発は喫緊の課題である。当研究により、肝細胞癌に対して、PFKFB3阻害薬PFK15が糖代謝制御により腫瘍細胞増殖を抑制し、また腫瘍血管正常化を誘導できることが明らかとなった。この結果はPFKFB3を標的とした治療が肝細胞癌の転移を抑制し、再発の減少につなげられる可能性を示唆する。
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