研究課題/領域番号 |
19K18098
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
前田 杏梨 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70825471)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵癌 / Girdin / スクテラリン / 遊走能 / 血管新生能 / VEGF-A / pGirdin(Tyr-1746) / 血管新生 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌細胞株におけるGirdinの機能解析膵癌の悪性度を規定する因子として,局所浸潤能や転移能が高いことが挙げられる.我々はこれらに血管新生能が関与していることを報告してきた.一方,Girdinは2005年に本邦で発見された細胞運動に関わるタンパクで,近年,癌の浸潤能に加え血管新生能への関与が示唆されたが,そのメカニズムは十分に解明されていない.さらに,フラボノイドの一種であるスクテラリンが,肝細胞癌でSTAT3シグナルを介してGirdinを抑制することが報告された. しかし膵癌の浸潤および血管新生に対するGirdinの役割の解明と治療への応用に着目した報告はない.
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研究成果の概要 |
本研究では膵癌におけるGirdinの機能解析を中心に行った.①臨床膵癌検体を用いた検討では,膵癌におけるGirdinの高発現は膵癌予後(OSおよびRFS)が有意に不良であった.また,Girdinの発現とTNM分類のT因子とは有意な相関があることも確認した.②膵癌細胞株を用いたin vitro実験では,多くの膵癌細胞株でGirdinの発現が高いことを確認した.Girdinのノックダウンにより,EGF刺激による遊走能亢進が有意に抑制され,また,VEGF-Aを介した血管新生能も抑制された.スクテラリンはGirdinリン酸化を阻害し,EGF刺激による遊走能を抑制しうることを確認した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Girdinは細胞運動に関与するタンパクとして本邦で発見されたが,一部の癌腫では腫瘍増殖能や遊走・浸潤能,血管新生能に関与することが報告されている.本研究では,予後の不良な膵癌におけるGirdinの機能解析を通して,Girdinが新たな予後マーカーになりうる可能性が示唆された.また,Girdinが膵癌遊走能および血管新生に関与することが考えられ,Girdinの抑制が新たな治療薬となりうることが検証された.そのうち,フラボノイドのスクテラリンは,Girdin阻害を通じて腫瘍遊走能を抑制しうる可能性が示唆された.これらの結果が今後の臨床応用につながり,膵癌予後の改善に寄与することが期待された.
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