研究課題/領域番号 |
19K18107
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高舘 達之 東北大学, 大学病院, 助教 (50772216)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 膵癌 / プロテオミクス / 腹膜播種 / 腹水 |
研究開始時の研究の概要 |
予後不良な膵癌のなかでも腹膜播種症例は極めて予後不良である。しかし近年の新規化学療法の導入により、腹膜播種が消失し、手術が施行される症例が存在し、腹膜播種症例に対する治療方針が変わろうとしている。術前に腹膜播種を診断することは難しいため、局所進行膵癌に対しては全症例で審査腹腔鏡を導入しており、これまで入手が困難であった膵癌症例の腹水が容易に入手可能となった。そこで、膵癌症例の腹水プロテオミクスを発案した。腹膜播種による癌性腹水中に特異的なタンパク質を同定することで、腹膜播種の診断バイオマーカー、また腹膜播種のメカニズム解明の一助として、膵癌治療に貢献できる結果が期待される。
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研究成果の概要 |
膵癌間質組織を選択的に採取し、プロテオミクス解析の結果、膵癌の転移に関わるヘモペキシンというタンパク質を同定した。(PLoS One. 2020 Jul)。146例の膵癌の審査腹腔鏡の結果、切除可能膵癌でも24%に転移を認めた。体尾部癌、腫瘍径の大きな症例、CA19-9高値の症例は有意に転移が多かった。(Surg Today. 2021 May)。膵癌の審査腹腔鏡と開腹手術の全例で腹水の採取・保存を行った。腹水中に発現しているタンパク質を網羅的に解析することはできなかったが、転移陽性例では腹水中のCEA、CA19-9が有意に高値で、血清中よりも腹水中の腫瘍マーカーがより高感度であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵癌の間質組織のプロテオミクスから、分泌タンパク質であるヘモペキシンを同定し、報告したのは世界で初めてのことである。また審査腹腔鏡は進行膵癌では行われているが、切除可能膵癌も含めて全例で施行している施設は非常に稀であり、膵癌の様々な症例の貴重な腹水サンプルが採取・保存されている。 膵癌は治療方針決定のために、審査腹腔鏡を行うことが非常に重要と考えており、その際に腹水採取は容易であり、腹水を用いたリキッドバイオプシーは、非常に重要な検査となりうる。
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