研究課題/領域番号 |
19K18122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
本村 貴志 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50719507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | サルコペニア / Apelin / 微小血管 / 肝癌 |
研究開始時の研究の概要 |
九州大学消化器・総合外科において肝細胞癌に対して肝切除術を施行した症例の、術前血漿中のApelinと肝癌腫瘍内のApelin発現を測定し、サルコペニアの有無による2群間で比較する。 PGC1α導入でサルコペニアマウスを作成し、これに肝癌細胞株を用いて皮下腫瘍を作成する。apelinを腹腔内投与し、サルコペニアの改善が得られる一方、皮下腫瘍の増大がないか確認する。
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研究成果の概要 |
60例の肝内胆管癌摘出標本を用いて血管新生やApelinを染色 し、臨床データから得られたサルコペニアとの関連を検討した。 Apelin高発現群(n=29)で 微小血管面積も大きいことが証明された(p=0.03)。Apelin高発現群と低発現群では、高発現群で年齢が若い傾向にあり(62歳vs67歳、p=0.06)、腫瘍マーカー(CEA)が有意に低かった(3.19vs7.11. p=0.04)。サルコペニア群(n=12)で有意に腫瘍内Apelinの発現が低かった (p=0.008)。サルコペニアの有無では5年前生存率が72%vs17%と有意にサルコペニア群で低かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢者においてApelin発現が低いことはNat Med 2018の既報に合致することで、さらにサルコペニア群でApelin発現が低いことも確認できた。一方でApelinは微小血管新生を促進させることもわかった。しかしながらサルコペニアは有意な予後不良因子であることが確認できた一方、Apelinの発現自体では長期生存率に差はないことから、Apelinは癌の予後を増悪させることなくサルコペニアの治療ターゲットとなり得るかもしれない。細胞や動物を用いた研究での確認が待たれるが、高齢化が進む本邦においてサルコペニアと癌の新規治療戦略につながる発見は社会的意義が大きいと考えられる。
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