研究課題/領域番号 |
19K18165
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高橋 吾郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (70637818)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 閉塞性大腸癌 / TILs / 微小環境 / 大腸ステント / 腫瘍内浸潤リンパ球 / がん微小環境 / 機械的ストレス / 長期予後 / 大腸ステント留置 / ctDNA上昇 / EMT誘導 / CTC / EMT marker |
研究開始時の研究の概要 |
閉塞性大腸癌に対する大腸ステントによる減圧処置は、腸管穿孔や腫瘍に対する物理学的刺激による遠隔転移助長の可能性など、近年腫瘍学的長期予後悪化が懸念されている。 本研究では、大腸ステント留置の腫瘍学的安全性を明らかにし、閉塞性大腸癌の治療戦略を確立する。以下の項目について、従来使用されていた経肛門的減圧管と比較検討する。
1. 新規循環腫瘍細胞(CTC)解析装置によるステント留置前後のCTC数のモニタリング 2. ステント拡張の物理的刺激による、上皮間葉転換(EMT)誘導のメカニズムの解明 3. Droplet Digital PCRを用いた大腸ステント留置後の循環腫瘍DNA(ctDNA)のモニタリング
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研究実績の概要 |
[閉塞性大腸癌に対する自己拡張型金属ステントの腫瘍学的安全性の評価]の研究課題に対して、2021年4月より独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所、石渡俊之研究部長の指導のもと共同研究を開始。マルチスペクトル顕微鏡および蛍光多重染色(OPAL染色)を利用し、閉塞性大腸癌症例のがん微小環境の評価を開始した。 2010年から2021年までに閉塞性大腸癌と診断された症例を対象とし、腫瘍先進部および腫瘍中心部におけるtumor-infiltrating lymphocytes (TILs、CD4、CD8、CD68)を評価した。結果はTILsの総数が多い症例ほど長期予後が良く、これは既存のバイオマーカーと比較しても有望なバイオマーカーである事がわかった。 この研究成果は、第82回日本癌学会(ポスター)、第78回日本大腸肛門病学会(ワークショップ)で発表。現在、この研究成果を論文にまとめ、Annals of Surgical Oncologyに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、この研究成果を論文にまとめ、Annals of Surgical Oncologyに投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
閉塞性大腸癌において、腫瘍先進部におけるTILsが予後予測に有用である事が本研究から明らかになった。また、サブグループ解析において、閉塞性大腸癌に対して大腸ステント(SEMS)を留置した症例は、経肛門的減圧管(trans-anal decompression tube; TDT)を用いて減圧した症例より有意にTILsが腫瘍先進部に多い事がわかった。これは、微小環境という観点から、SEMSがTDTより腫瘍学的に安全なデバイスである事が言える。現在、閉塞性大腸癌における減圧デバイスの決定には、明確なエビデンスがないことから、本研究はSEMSを選択する上で重要な根拠となりえる研究成果であると考えている。また、今後は、両デバイス間で腸内細菌叢の差をみることで、減圧手段により腸内細菌叢の変化が認められるかを今後の課題として考えている
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