研究課題
若手研究
光音響イメージングとは非侵襲的に微細な血管の3次元画像が得られる、新たな画像診断技術である。現在、リンパ浮腫の外科的治療として広まりつつあるリンパ管細静脈吻合術(LVA)には、術後の評価が難しいという課題がある。本研究は、LVAの前後に光音響イメージングを行い、リンパ管と細静脈に生じる変化を明らかにすることを目的とする。LVAの効果の客観的な指標として、特にリンパ流の定量的な変化や、リンパ管の細径や構造の変化に注目する。本研究によってLVAが患肢のリンパ管と静脈に与える影響が明らかとなれば、より有効な手術法が開発されるなど、リンパ浮腫の診療のレベルがより向上することが期待される。
光音響イメージングによって、リンパ浮腫の外科的治療であるリンパ管細静脈吻合術(LVA)における術後の開存評価や、リンパ管や静脈系に生じる変化について評価した。LVA吻合部に注目すると、リンパ管と静脈の両者が同定できるもの、リンパ管か静脈のいずれかが消失したように見えるもの、両者が消失したように見えるもの、の4パターンを認めた。これらのうち、両者が同定できるものが吻合部の開存を示す所見であるものと思われた。一部の症例では、吻合部においてリンパ管から静脈に向かってリンパ流が生じる様子を動画で記録することが可能であった。
従来の画像検査では、リンパ浮腫患者で頻繁に生じる画像所見「dermal backflow」によって皮下のリンパ管を観察できず、LVAの吻合部が開存しているかどうかを評価することは困難であった。光音響イメージングでは3次元的な画像が得られるため、dermal backflowに覆われた皮下の脈管の情報を得ることができ、LVAの吻合部も可視化できた。LVAの吻合部をリンパ管と静脈が接合する画像として可視化したのは世界で我々が初めてであり、本技術が広まることで、より正確なLVAの術後評価、ひいてはより優れたLVAの手技が普及することが期待される。
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Plastic and Reconstructive Surgery - Global Open
巻: 9 号: 1 ページ: e3348-e3348
10.1097/gox.0000000000003348
リンパ学
巻: 8 ページ: 6-8