研究課題/領域番号 |
19K18192
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
塩澤 知之 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00648165)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 脂肪酸 / 心房細動 / リピドローム解析 / 脂質代謝 / 左心耳 / 心筋 / DHA / 心血管病 |
研究開始時の研究の概要 |
心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として生命予後とQOL低下に関与するため、その予防と治療は重要である。疫学研究において、多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid, PUFA)の摂取が心房細動の発生率を減少させることが報告されているが、その分子機序は明らかにされていない。本研究の目的は、動物モデルとヒト組織、特に左心耳検体を用いて脂肪酸メタボローム解析を実施し、心筋組織の膜リン脂質含有PUFAの組成が心房細動発症に関与するとの仮説を検証する。特に、DHAを軸として、その代謝機構にも注目して解析し、心房細動の発症および進展を予測するマーカーの同定と、その機序の解明による新規治療薬開発を目指すものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、心疾患において心筋におけるDHAを中心とした脂肪酸含有リン脂質の組成の違いを動物モデルおよびヒト検体を用いて基礎的および臨床的検討を行うことである。具体的には、DHAの作用機序、特に心筋組織の線維化などの組織学的な変化(リモデリング)を抑制する作用について、リン脂質の脂肪酸組成に着目して検証する。マウスおよびヒト心筋において、他の脂肪酸含有リン脂質と比較して、DHA含有PC・PEが多く含まれていることを明らかにし、心房細動患者におけるDHA含有リン脂質組成の違いを検討している。 当院心臓血管外科において、様々な心疾患患者の心臓手術に際して実施された左心耳切除術で得られた左心耳組織からリピドローム解析を行いDHA含有リン脂質組成を解析した。腎機能・維持透析・心筋障害の重症度など、様々な患者背景によってリン脂質組成が変化することが検討できている。 令和5年度は左心機能の保護された狭心症に対する冠動脈バイパス患者に限定し、心房細動発症の既往および術後心房細動発症の有無で、患者背景、心筋代謝マーカー、左心耳組織の線維化等と関連するかを比較検討した。具体的には、DHA含有リン脂質の中でも、PEやPIの組成が左室機能低下例や腎機能低下例では少ない傾向があったが、全脂質ではないことから、これらの中での一定の傾向をヒートマップなどで導き出そうとするため、解析の外注依頼を行い改めて解析を行った。今後結果を欧州心臓病学会で発表および論文投稿を目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心房細動患者にDHA含有リン脂質組成の違いの検討を行い、得られた左心耳組織からDHA含有リン脂質組成を解析している。左心機能の保護された狭心症に対する冠動脈バイパス患者に限定し、心房細動発症の既往および術後心房細動発症の有無で、患者背景、心筋代謝マーカー、左心耳組織の線維化等と関連するかを比較検討している。ほかにも様々な患者背景で比較検討し解析をすすめている。また、解析方法に関して難渋しており、AIを用いた解析なども考慮中であったが、解析までの時間と研究費不足のため、通常の解析にて対応しているが、研究計画よりも遅れている。心筋梗塞後心不全モデルおよび心肥大モデルマウスを用いての検討に関しては、準備段階にあり研究計画よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在得られているデータをAIでの解析を行うことを検討中であったが、解析までの時間と研究費不足のため、通常の解析にて対応している。年内に解析を終了し、欧州心臓病学会での学会発表および論文投稿の準備をすすめている。 また追加解析の中で、これらの左心耳検体に対して、炎症や線維化の組織学的評価も行い、線維化の指標となる血清中Galectin-3、マッソン・トリクローム染色、M1様、M2様マクロファージの指標評価を免疫組織化学染色にて、遺伝子およびタンパク発現の評価(IL-6、TNF-α、α-SMA、MCP-1、CD11c、F4/80)をqPCRおよびウエスタンブロットにより行う。
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