研究課題/領域番号 |
19K18197
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55030:心臓血管外科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
橋本 洋平 久留米大学, 医学部, 助教 (10811086)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | Syk / 大動脈解離 / マクロファージ / 平滑筋 / spleen tyrosine kinase / Spleen tyrosine kinase |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、大動脈解離における非受容体チロシンキナーゼSykの役割を明らかにし、治療応用の可能性を探索する。申請者は予備的検討から解離病態において、免疫制御分子Sykがマクロファージおよび平滑筋細胞で活性化すると発見した。また、Sykが解離病態に対し生体防御的に働き、解離抑制的に働くことを示唆するデータを得た。本研究では、解離病態に対しSykを中心とした生体防御機構というこれまでにない新しい視点から解離病態の解明を目指す。本研究によりSykを中心とした生体防御メカニズムのロジックが解明されれば解離病態に対する生体防御機構の統一的理解が得られるであろう。
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研究成果の概要 |
大動脈解離病態では平滑筋細胞と炎症細胞が、組織破壊と生体防御に関与する。我々はマウス解離モデルにおける炎症応答制御分子Sykの役割を検討した。解離組織では炎症細胞と平滑筋細胞でSyk活性を認めた。特異的Syk阻害薬をマウス解離モデルに投与すると解離は重篤化し死亡率が増加した。遺伝子発現および炎症性サイトカイン解析から、Syk阻害薬は全身的な免疫応答を抑制するが大動脈局所の制御性T細胞を抑制すし炎症応答を促進することが示唆された。Sykは全身と局所の炎症応答を協調させ大動脈を保護する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大動脈解離は中高年に好発する致死的な急性大動脈症候群の1つである。人口の高齢化に伴い増加しているが、発症機序や分子病態に謎が多く新たな診断・治療・予防法の開発の妨げとなっている。本研究の結果から、Syk阻害が解離の増悪と死亡率増加を助長することが明らかになった。Syk活性が大動脈解離病態において免疫関連分子を制御し大動脈組織保護の中心的役割を果たすことが示唆され、解離病態解明に繋がる新たな知見となった。また、偶発的ではあるが、Syk阻害薬が免疫寛容の主体である制御性T細胞を抑制していることも示唆し他分野への応用に繋がる知見を得た。
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