研究課題/領域番号 |
19K18231
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長谷 由理 北海道大学, 大学病院, 助教 (20626121)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 吸入麻酔薬 / プロポフォール / 麻酔薬濃度 / Na,K-ATPase活性 / Ca,Mg-ATPase活性 / 脳内ATPase活性 / Na,K-ATPase / Ca,Mg-ATPase / Desflurane / Sevoflurane / Isoflurane / 作用温度 / 19F-NMR測定 / F-NMR測定 / 全身麻酔薬 / 血中濃度 / 脳内濃度 |
研究開始時の研究の概要 |
吸入麻酔薬の作用は脳内で限界濃度に達した時に発現するが,手術中に脳内濃度を常に把握することは困難である.申請者はVOCセンサーを使用して簡便に水溶液中での吸入麻酔薬濃度を測定する系を確立し,さらにウサギの血中麻酔薬濃度の測定が可能であることを報告した.本申請では,ラットの血中麻酔薬濃度と,マイクロダイアリシス法による脳内麻酔薬濃度の相関を解析する.次に,VOCセンサーを使用してヒト血液中の麻酔薬濃度の測定を行い,呼気ガス濃度との相関および脳内麻酔薬濃度を推測する.また,脳内のATPase活性に対する吸入麻酔薬の作用を定量的な麻酔薬濃度のもとで解析する.結果として吸入麻酔薬の至適濃度を考察する.
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、吸入麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)によるウサギおよびラット脳内Na,K-ATPase活性に対する影響について、開放系および閉鎖系での測定系で得られた結果をもとに論文作成中であり、次年度中に投稿予定である。 近年麻酔薬の作用点として脂質ラフトが注目されている。脂質ラフトに存在する酵素であるNa,K-ATPase及びCa,Mg-ATPase活性に対するプロポフォールの作用に関する研究を行い、「Neuro-2a細胞のATPase活性に対するpropofolの作用」として、第51回日本歯科麻酔学会学術集会(長崎)においてポスター発表を行った。 Neuro-2a細胞のNa,K-及び Ca,Mg-ATPaseはいずれも脂質ラフトに存在する酵素が含まれるミクロソーム分画に回収された。Neuro-2a細胞のNa,K-及び Ca,Mg-ATPase活性と、比較のためにラット脳から精製したNa,K-ATPase活性に対するプロポフォールの作用を検討した。いずれの活性も、プロポフォールの濃度に依存して抑制された。50%活性阻害濃度IC50は、Neuro-2a細胞のNa,K-及び Ca,Mg-ATPase活性およびラット脳Na,K-ATPase活性に対して、それぞれ類似した濃度を示した。 吸入麻酔薬による抑制作用はNa,K-ATPase活性よりもCa,Mg-ATPase活性において顕著に強いという報告がある。しかし、プロポフォールの場合は両ATPase活性を類似した濃度で抑制したことより、吸入麻酔薬と静脈麻酔薬では両ATPaseに対する作用が異なる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医局の新体制のもと臨床業務に従事する時間が長く、研究時間の確保が困難であった。可能な範囲で追加実験を行いつつ、論文執筆を進めており、研究のまとめの段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
吸入麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、デスフルラン)のウサギおよびラット脳内Na,K-ATPase活性に対する抑制作用について、2つの測定系(開放系および閉鎖系)に分けて論文を作成して、公表する予定である。また、NMR測定に基づく水溶液中の吸入麻酔薬の濃度決定についても具体的に報告する予定である。 吸入麻酔薬と静脈麻酔薬ではNa,K-ATPase活性とCa,Mg-ATPase活性に対する作用が異なるのか否かという点について、Ca,Mg-ATPaseの精製度を高めて実験を行うことにより研究を進める予定である。
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