研究課題/領域番号 |
19K18234
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分55050:麻酔科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
古川 智範 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60402369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ベンゾジアゼピン / ジアゼパム / 認知機能 / 海馬LTP / 運動 / 抗不安薬 / 麻酔薬 / 神経棘突起 / 運動負荷 / benzodiazepine / diazepam / Lcn2 / Aged / exercise |
研究開始時の研究の概要 |
抗不安薬や睡眠誘導薬として広く使用されるベンゾジアゼピン(BZ)系薬剤は、長期的使用による高齢者の認知症発症リスクの増加が懸念されている。しかし、その弊害がどのようなメカニズムで生じるかは未解明である。本研究では、BZ系薬剤の慢性投与により発現増加するLcn2が認知機能低下に関わると仮説を立て、BZ系薬剤慢性投与によるLcn2の発現調節機構およびLcn2による神経回路機能低下機構を明らかにする。
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研究成果の概要 |
抗不安薬として高齢者に処方されるジアゼパム(ベンゾジアゼピン系薬剤)を長期的に使用することによる認知機能低下が問題となっている。そこで本研究では、ジアゼパムを長期投与した老齢マウスを用いて、記憶学習能力に関わる海馬領域の神経細胞の細胞死や神経新生、神経細胞の形態変化、神経回路機能などを解析した。その結果、細胞死や神経新生にはジアゼパム長期投与による変動はなかったが、老齢マウスでは加齢による神経機能が減弱すると共に、ジアゼパム投与により神経細胞の形態変化および神経回路機能の減弱が認められた。さらに、それらのジアゼパムによる影響は、長期的な運動の負荷によって予防できることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果は、長期的なジアゼパム使用によって生じる認知機能低下が海馬領域における神経細胞の新生や細胞死ではなく、形態的特徴の変化による機能的減退によって引き起こされることを示唆するものであり、ジアゼパムの中枢神経系における詳細な分子的作用機序解明への発展が期待できる。運動による認知機能向上は以前から注目されており、近年、末梢血中の運動由来分子が同定され、詳細な研究が期待されている。本研究成果は、運動由来分子の中枢における機能的特性の解明に貢献できると考えられる。運動由来分子の機能的特性が明らかになれば、ジアゼパム等による認知機能減退の予防法や治療法への発展が期待できる。
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